戦争画海外に悪影響

記事番号:00435
年月:1939年02月

昨年以来展覧会に現はれた戦争画の中、出版物等によつて海外に紹介され、陰惨不快等の印象を与へて悪影響を及ぼすもののある実例が、二月十四日アルゼンチン駐在の内山公使から外務省に報告されて注意をひいた。問題の作品は昨秋二科展出品の向井潤吉作「突撃」と阿部合成作「見送る人々」とで、国際写真情報の美術展号によつて紹介されたものである。同公使の報告によれば、これらの絵画は正義の日本人の姿とは見えず悲壮な黒人の群又は無智な土人の集りの様な印象を外国人に与へ、ひいては聖戦の認識を甚だ誤るおそれがあるから即刻海外領布を厳禁されたいと要請してゐるもので、当局では早速調査の上取締を講ずることとなつた。

登録日: 2014年04月14日
更新日: 2020年12月11日 (更新履歴)
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