東京都写真美術館、佐藤忠良記念館開館

1990年06月

平成5年の総合開館に向け、昭和63年から現在までの収集作品約6000点を一般公開するため、東京都写真美術館が1日、暫定開館した。建物は東京恵比寿のサッポロビール催事施設「ファクトリー2」を改修したもの(東京都渋谷区恵比寿4-19-24)で、写真専門の公立美術館としては初めてのものとなる。 また彫刻家佐藤忠良が寄贈した代表作品群ほかの資料を展示する佐藤忠良記念館も、同じく1日、宮城県美術館に隣接して開館した。

美術全集ブーム

1990年06月

昭和から平成に変わり、歴史を見直す機運の高まる中、6日、講談社(『日本美術全集』全24巻)、小学館(『新編・名宝日本の美術』全33巻)がともに大型の美術全集の配本を開始。学習研究社も昨年11月から『人間の美術』(全10巻)を刊行しており、美術全集が新たなブームを迎えている。

ゴッホ「医師ガシェの肖像」125億円で日本へ

1990年05月

バブル経済による日本企業の絵画購入がとり沙汰される中、15日ニューヨーク・クリスティーズの競売会で、ゴッホが死の6週間前に描いた「医師ガシェの肖像」が、史上最高の125億円で日本人に落札された。 絵画がついに100億円をこえたことと共に、金余り現象の日本企業が、投機目的で絵画市場に参入するケースの増えていることが、新たな問題として浮上しつつある。

タカシマヤ文化基金設立

1990年05月

百貨店高島屋は、美術振興と国際文化への寄与を目的に、公益信託「タカシマヤ文化基金」を設立した。基本財産は8億円で、新鋭作家、シンポジウムなどの助成や、内外美術文化の発掘・振興への支援を行なう予定。

イタリアで「北斎の肉筆画に関する国際会議」開催

1990年05月

欧米で高い評価を得ている北斎の肉筆画についての国際討議が、2日から4日までの3日間、イタリアのヴェニスで行なわれた。ヴェニス大学、ニューヨークのコロンビア大学ドナルド・キーン・センター、ヴェニスの国際北斎研究センターが主催となった同会議には、各国の研究者が集まり、充実した討議が行なわれた。

日本芸術院新院長に犬丸直就任

1990年05月

有光次郎前院長の高齢による辞任に伴い、日本芸術院は15日院長選挙を行なった結果、元文化庁長官、元東京国立近代美術館館長の犬丸直を新院長に選出した。

国立国会図書館、「文化保存元年」

1990年04月

国際図書館連盟の資料保存国際センターは、酸性紙や音響機器の世代交代などによる資料の劣化や消滅に国際的規模でとりくんでいるが、このほどそのアジア地域センターとなった国立国会図書館は、1990年を「文化保存元年」として、資料保存に本腰を入れることになった。当面は、酸性紙による劣化の著しい明治期刊行の蔵書16万冊のマイクロフィルム化を進める。

川村記念美術館開館

1990年05月

大日本インキ化学工業株式会社の社長が3代にわたって収集した国内外の美術品約800点を収蔵展示する川村記念美術館(千葉県佐倉市坂戸631)が、2日開館した。コレクションの内容は多岐にわたるが、中心的な柱は、カンディンスキーらコンテンポラリー・アート。

葛飾北斎美術館開館

1990年04月

16日、島根県津和野町に葛飾北斎美術館が開館した。同美術館は、永田生慈収集のコレクション約600点と寄託作品約400点を中心に、常設展示と、長野県小布施の北斎館などとの連合企画展を行なう予定。

近世日本絵画と画譜絵手本展

1990年04月

中国から舶載された画譜や日本で刊行された画譜・絵手本が、近世絵画に与えた影響をさぐる展覧会が19日から6月17日まで、開館3周年を記念して町田市立国際版画美術館で開催された。画譜、絵手本類を版画と見なした同館ならではの企画だが、本画と手本の関係をさぐるユニークな展覧会となった。

第18回日本国際美術展

1990年04月

新進作家の登竜門として知られる日本国際美術展が、24日から5月7日まで東京都美術館で開催された。778作家1516点の応募作品の中から、平面部門142点、立体部門35点が入選し、竹内孝和の立体作品「重層」が大賞に、佐藤時啓の平面作品「Breath-graph 1」が美術文化振興協会賞にそれぞれ選ばれた。

大英博物館にジャパンギャラリーオープン

1990年04月

大英博物館が同館のキング・エドワード7世館内に建設を進めていたジャパン・ギャラリーが、6日オープンした。メインギャラリー448㎡、小ギャラリー143㎡の同ギャラリーは、総工費500万ポンド(約14億円)をこえ、約300万ポンドが日本国内の募金で寄付された。 同ギャラリーのオープンを記念し、同博物館の収蔵品約460点による「大英博物館秘蔵江戸美術展」が、8月9日から9月24日まで東京上野の東京都美術館で開催された。

日本国宝展

1990年04月

文化庁、東京国立博物館、読売新聞社の主催により、文化財保護法施行40周年を記念した「日本国宝展」が、10日から5月27日まで東京国立博物館で開催された。現在国宝指定を受けているものは、美術工芸品827点、建造物207件249棟だが、その中から移動可能なもの213件が展示された。同趣の国宝展は、文化財保護法施行10周年を記念した昭和35年に一度行なわれたのみで、30年ぶりの開催となり、入場者数も70万人をこえる未曾有の展覧会となった。

五島記念文化財団設立

1990年03月

五島美術館など芸術・文化の振興にも尽力した故五島昇の遺志をついで、東急グループでは財団法人「五島記念財団」を設立。基本財産5億円を、平成3年度までに10億円に増額し、音楽・美術分野での新人の発掘及び助成、これらの分野での国際交流などを活動内容としていく方針である。

日本芸術文化振興会発足

1990年03月

国と民間が協力して芸術文化活動を支援しようとする芸術文化振興基金が、30日発足した。こうした基金の創設は、文化庁長官の私的諮問機関である「文化行政長期総合計画懇談会」の昭和52年のまとめ、「民間芸術活動の振興に関する検討会議」の同61年の報告などにより既に提言されていたが、平成元年12月、財界関係者、芸術文化関係者有志により「芸術文化振興基金推進委員会」が結成され、財界からの資金協力が表明された。これを受けて、政府は平成元年度の補正予算に基金創設のための政府出資金500億円を計上。また国立劇場法の一部を改正し、特殊法人「国立劇場」を日本芸術文化振興会として、国会の中に基金を設置したもの。民間企業等からは、134企業から112億円を超える拠出表示があり、総計約600億円を原資として、その運用益による助成が行なわれる。 助成の対象分野は、芸術創造普及活動、地域文化振興活動、文化振興普及団体活動の3分野からなり、平成2年度は応募総数780件のうち446件が採用され、助成交付内定額は、21億2589万円となった。当研究所関係では、文化振興普及団体活動の中の伝統工芸技術・文化財保存技術の保存伝承活動の区分で、古文化財科学研究会が「海外所在の日本文化財を対象とする調査研究」に助成を受けた。

文化財の新指定(美術工芸品)

1990年03月

文化財保護審議会(斉藤正会長)は27日、国の重要文化財として、京都市仁和寺の重要文化財木造薬師如来坐像一体を国宝に、山形市の光明寺蔵紙本著色遊行上人絵など絵画、古文書、考古資料の3件を重要美術品から重要文化財に、またMOA美術館蔵山中常盤絵など49件を新たに重要文化財として指定するよう保利文相に答申した。これで、国の美術工芸品の重要文化財は、9575件(うち国宝828件)となった。

千利休展

1990年03月

わび茶の巨匠千利休の没後400回忌にあたり、利休および千家、珠光、紹鴎らの茶の世界を茶道具からうかがう「特別展覧会・四百回忌千利休展」が、27から5月6日まで京都国立博物館で開催された。同展には国宝4点、重文・重美26点を含む256点が出品された。

水戸芸術館開館

1990年03月

音楽ホール、劇場、芸術ギャラリーの3部門からなり、それぞれの芸術部門に総監督を置いて現代芸術の紹介と活性化をめざす水戸芸術館が、22日オープンした。同館は水戸市が市制100周年を記念して建設したもので、運営には水戸市の予算の1%9億円があてられ、地方自治体の文化施設の画期的な試みとして注目を集めている。

史跡、人間国宝指定

1990年03月

文化財保護審議会(斉藤正会長)は23日、佐賀県神埼郡の吉野ケ里遺跡、奈良県斑鳩町の中宮寺跡など5件を、国の史跡に指定するよう保利文相に答申した。 また同日、同審議会は、重要無形文化財(人間国宝)として新たに3名を認定するよう文相に答申。美術関係では紬織の志村ふくみが選ばれた。 これで国の史跡は1295件、人間国宝は189名(うち70名現存)となった。

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