ニコライ堂、60余年ぶりに改修

1992年09月

明治24年に完成した日本ハリストス正教会東京復活大聖堂(東京神田、通称ニコライ堂)の大がかりな改修工事が始まった。関東大震災のため昭和初期に行なわれた改修工事以来、60余年ぶりとなる今回の改修工事は、約13億円をかけ平成10年末に完成の予定。国の重要文化財のため工事費の9割強が、国と都によって補助される。

雪村展

1992年10月

雪村の優作、関連資料98点を集めた「雪村-常陸からの出発」展が、3日から11月13日まで茨城県立歴史館で開催された。同館の新規開館の特別展として行われたもので、雪村の優品を一堂に展観する充実した内容の企画となった。

ベトナムの古都ホイアンの日本町、保存修復へ

1992年10月

16世紀末から17世紀にかけて朱印船貿易によって造られた日本町の町並みが唯一現存する、ベトナム中部の古都ホイアンの町並みを保存しようとする動きが、ベトナム、日本の双方で本格化している。1990年ベトナム政府が「古都ホイアン保存国家委員会」を発足させ、日本の外務省も同年両国の文化交流として「ホイアン国際シンポジウム」を現地で開催、さらに今年9月昭和女子大学国際文化研究所調査団によって、文化的価値と修復保存の緊急性が確認された。文化庁も7月に調査官を派遣して保存対象住宅の調査を始めており、来年から修復保存作業を具体化させる予定。

上野の山文化ゾーン連絡協議会設立

1992年09月

日本の芸術文化をリードしてきた上野の山の文化施設が、共同のイベントとしてそれぞれ催し物を開催する「上野の山文化ゾーン連絡協議会」が設立された。参加したのは21の関連文化施設と企業で、会長は東京芸術大学学長平山郁夫、事務局は台東区役所企画部に置かれた。具体的には、10~11月の美術館等各施設の催しと講演会をリンクして開催。毎週木曜午後のみ開館している当研究所の黒田記念館も、10月20日から11月1日まで連続して特別公開された。

日本文化デザイン大賞決定

1992年09月

日本文化デザインフォーラム(黒川紀章代表)は、今年度の日本文化デザイン大賞受賞者に、優れた日本文化論や日韓文化交流に尽くした韓国の文芸評論家李御寧を、日本文化デザイン賞に三重県鳥羽市の海の博物館、東芝(日本語ワープロ1号機作成グループ)、中国コンクリート工業(生き物に優しい側溝の開発)をそれぞれ選出した。

自治省、地方の文化財保護、文化振興支援へ

1992年09月

地方自治体の指定文化財は、現行の文化財保護法では補助対象とされていないが、自治体によるそれらの文化財の買い上げや修復・復元、周辺整備などの事業を援助するため、自治省は「地域文化財保全事業」に着手することになった。今年度は、沖縄県那覇市の旧首里城守礼門保存修理など2県64市町村の76事業が、支援事業の指定を受けた。また来年度には、地方自治体に寄付をした個人を住民税で優遇する「ふるさと寄付金控除制度」の創設を計画。さらに文化を地域活性化の起爆剤にしようとする自治体の文化振興活動を支援するため、美術館・博物館への企画運営面での支援などの制度的整備も検討していく予定という。

第23回中原悌二郎賞決定

1992年09月

旭川市が国内の優秀な彫刻家に贈る中原悌二郎賞の第23回受賞者が19日決定。中原悌二郎賞に掛居五郎「立つ」、同優秀賞に石井厚生「時空・61」がそれぞれ選ばれた。

世界遺産条約に4候補決定

1992年09月

人類共有の財産として世界的な自然・文化遺産を保護する「世界遺産条約」への日本からの登録候補地を検討していた環境庁と文化庁は、4日、屋久島(鹿児島県)、白神山地(青森・秋田県)、法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)、姫路城(兵庫県)の4ケ所を、世界遺産委員会(事務所パリ)に推薦することを決定した。同条約は、1972年ユネスコ総会で採択され、現在124ケ国が加盟し、358ケ所が登録されている。締結国は指定遺産の保全を義務づけられる一方、世界遺産委員会は基金で遺産の修復などを行なう。

「楼蘭王国と悠久の美女」展開催

1992年09月

1980年中国新彊ウイグル自治区のタクラマカン砂漠で発見された約3900年前の古代ロプ・ノール人の女性のミイラが、8日から11月29日まで国立科学博物館で開催された「楼蘭王国と悠久の美女」展で公開された。同展は、日中国交正常化20周年を記念して開催されたもの。

「洋画の動乱-昭和10年」展

1992年08月

美術界を紛糾させた昭和10年の松田改組に焦点をあてた展覧会が、14日から10月6日まで東京都庭園美術館で開催された。洋画壇を中心に、同時期のアジア美術も含めた70点が出品され、昭和初期の洋画を国内外の情勢を絡めた国際的視野から捉える企画展観となった。

「アーティストとクリティック批評家土方定一と戦後美術」展開催

1992年08月

第2次大戦後の現代美術の動向に深く係わった美術批評家土方定一の活動を通して、美術批評と現代美術の関係を洗い直そうとする「アーティストとクリティック・批評家土方定一と戦後美術」展が、15日から9月13日まで三重県立美術館で開催された。同館の開館10周年記念展として企画された展覧会だが、現代美術における制作に対する批評の役割を問い直す斬新な視点の企画となった。

第4回ロダン大賞

1992年07月

隔年で実施されているロダン大賞の第4回受賞者が決定し、37ケ国252点の応募の中から大賞にドイツのイガエル・トゥマルキンの「仕事は自由をもたらすか?-ミイラとしてのアーティストの肖像」が、特別優秀賞にベルギーのフランツェン「疾走する文化」、アメリカのジム・ダイン「展望台」、鹿内信隆賞にアメリカのスティーヴン・デ・ステブラー「歩く女Ⅱ」が選ばれた。同大賞展は、17日から10月31日まで長野県の美ケ原高原美術館で開催された。

絵ハガキ展

1992年07月

フランス人の収集家フィリップ・バロスが集めた明治末年から昭和初期の日本の絵ハガキ3000点の中から、約650点を選んで展観した「絵はがき芸術の愉しみ展-忘れられていた小さな絵」が、29日から8月23日までそごう美術館で開催された。欧米での日本美術コレクションは、根付や浮世絵など生活感あふれる美術工芸品を集めたものが多いが、絵ハガキコレクション展も、そうした視点を示すユニークな企画となった。

「古代の日本 Ancient Japan」展

1992年08月

文化庁とアメリカ合衆国スミソニアン研究機構、アーサー・サックラー・ギャラリーとの共催による「古代の日本 Ancient Japan」展が、9日から11月1日まで、ワシントンDCのアーサー・サックラー・ギャラリーで開催された。旧石器時代から飛鳥・奈良時代にいたるまで、国宝3点、重要文化財83点を含む258点の発掘遺物によって、仏教受容以前の日本文化の歴史を総合的にたどることができるように構成された。1979年にカナダ、アメリカ合衆国で日本の考古展「Image and Life」展が開催されたが、海外でのこのような総合的な考古展は初めてで、入場者は9万1千人にのぼり、大きな関心を集めた。

「高島屋国際スカラーシップ基金」設立

1992年07月

若手作家や文化交流団体を支援する「タカシマヤ文化基金」をすでに設けている高島屋は、アジア地域からの留学生・研修生への奨学事業を目的に新たに「高島屋国際スカラーシップ基金」を設立、7月から事業を開始した。以後毎年1~3人の留学生を対象に各人年間300万円が支給される。初年度はシンガポールから日本への留学生を選出する。

第5回MOA岡田茂吉賞

1992年07月

日本画と工芸を対象とするMOA岡田茂吉賞の第5回受賞者が決定。日本画部門の大賞に岩沢重夫、優秀賞に中野嘉之、工芸部門の大賞に漆芸の太田儔、優秀賞に陶芸の深見陶治がそれぞれ選ばれた。同賞展は25日から8月23日まで静岡県熱海市のMOA美術館で開催された。

『みづゑ』休刊

1992年06月

明治38年の創刊以来、美術ジャーナリズムをリードしてきた雑誌の一つ『みづゑ』(美術出版社)が、6月末発行の936号をもって休刊することが決まった。バブル経済崩壊後の広告収入の減少と製作費の高騰が直接の原因といい、復刊のメドは立っていないという。

文化財行政の再検討

1992年07月

文化財行政のあり方を中長期的視点から検討するため、文化庁はこのほど、文化財保護審議会(鈴木勲会長)の下に学識経験者15名からなる「文化財保護企画特別委員会」(加藤秀俊座長)を設置することを決めた。文化財保護法は、昭和25年の制定以後3回改正されているが、美術工芸品については制定後変化がなかったため、42年ぶりに検討が加えられることとなった。

ロシアで浮世絵コレクション確認

1992年06月

海外に所在する日本美術品の調査を進めている国際日本文化研究センターは、6月初めからのモスクワ・プーシキン美術館での調査で、同美術館に約7000点の浮世絵が所蔵されていることを確認した。同コレクションは、1890年代に日本を訪れたロシア海軍の軍医セルゲイ・キタエフの収集品を中核とし、北斎のこれまで知られなかった作品3点も含まれている。 さらに同センターによる調査で、8月14日までに、サンクトペテルブルク(旧レニングラード)のエルミタージェ美術館にも、これまで未確認の作品多数を含む約1500点の浮世絵が所蔵されていることが確認された。このコレクションは、旧ソ連国内から同美術館が購入したものといい、従来、知られていない作品約30点も含まれているという。

「伽耶文化展」

1992年06月

紀元4世紀頃から6世紀中葉に朝鮮半島南部、洛東江流域にあった小国家群「伽耶」は、その存在は知られながら、文献資料の不足から実像を知ることが困難とされてきた。近年の発掘のめざましい成果をもとに、伽耶文化の豊かさと日本との交流を探る「伽耶文化展」が30日から東京国立博物館で開かれた(~8.9)。韓国での出土品300余点と日本との交流を示す国内出土品約40点を展示する充実した展観となった。同展は京都国立博物館(8.25~9.20)、福岡県立美術館(10.3~11.3)に巡回した。

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