木田安彦 (きだやすひこ)

没年月日:2015/08/13
分野:, (版)

 京都の寺社や仏像を主なモティーフとして木版画をはじめ、ガラス絵や水墨画、書等多彩な活動を繰り広げた木田安彦は8月13日、悪性リンパ腫のため死去した。享年71。
 1944(昭和19)年2月14日、京都府京都市に生まれる。67年京都教育大学特修美術科構成専攻卒業。在学中の66年に制作したポスターが京都産業デザイン展で市長賞銀賞を受賞。同大学の美術・工芸専攻科(現、大学院)構成学専攻へ進むも退学し、京都市立美術大学(現、京都市立芸術大学)美術専攻科(現、大学院)へ進学。在学中の69年に東京イラストレーターズ・クラブによる全国公募にイラストが入選、同クラブ編集の『年鑑イラストレーション』に掲載される。70年京都市立芸術大学美術専攻科デザイン専攻を修了。同年東京へ移り博報堂制作部に勤務、入社一年目で毎日商業デザイン賞を受賞するなどグラフィックデザイナーとして注目を集める。75年に京都へ戻り、木版画家として作家活動を開始。木版画の棟方志功を意識しつつも洗練された京都人のセンスを活かした画風を追求する。一方でグラフィックデザイナーの田中一光に見出され、77年には田中をリーダーとするセゾングループのクリエイティブスタッフとなるなど、グラフィックの世界でも存在感を示す。田中一光とは2002(平成14)年に田中が没するまで、その薫陶を受けた。また日本画家の下村良之介や彫刻家の辻晉堂、哲学者の梅原猛、ファッションデザイナーの三宅一生らともジャンルを越えて交流。自らの制作においても木版画の他、華麗な色彩によるガラス絵、板絵、水墨、油彩、陶、書と様々な材料と技法により領域を拡げていった。87年に初めての大規模な個展「京都から世界へ ひた走る木版画家 木田安彦展」を東京・池袋の西武アート・フォーラムで開催。2000年に第79回ニューヨークADC賞で銀賞、優秀賞、04年に第17回京都美術文化賞、06年に第24回京都府文化賞功労賞等、国内外の数々の賞を受賞。この間、03年にはNHK大河ドラマ「新撰組!」タイトル版画を制作。04年には、松下電工のカレンダーを20年来手がけてきた縁で、松下電工汐留ミュージアム(現、パナソニック汐留ミュージアム)で「煌めきのガラス絵 木田安彦の世界」展を開催。04年から09年にかけて眼疾と闘いながら最後の木版画連作「西国三十三所」を制作し、09年に京都文化博物館とパナソニック電工汐留ミュージアムで公開、その後も肉筆による作画を続けた。11年に京都市文化功労者に選ばれる。12年にはミネルヴァ書房より『一刀の無限 木田安彦木版画集成』が刊行、また池田20世紀美術館で「木田安彦 祈りの道」展が開催。13年には京都三十三間堂本坊妙法院門跡より法眼位の称号を叙位された。

出 典:『日本美術年鑑』平成28年版(546-547頁)
登録日:2018年10月11日
更新日:2019年01月23日 (更新履歴)
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