濱本聰

没年月日:2015/03/13
分野:, (学)
読み:はまもとさとし

 下関市立美術館長で、美術史研究者の濱本聰は、3月13日に死去した。享年60。
 1954(昭和29)年8月1日山口県萩市に生まれる。岡山大学大学院文学研究科修士課程(日本近現代美術史専攻)を修了後、84年に下関市立美術館学芸員に採用される。1992(平成4)年11月には、第4回倫雅美術奨励賞の「美術評論・美術史研究部門」において、展覧会「日本のリアリズム 1920s-50s」の企画及びカタログ中の論文によって、共同企画者である大熊敏之とともに受賞した。97年、同美術館学芸係長に昇任。2004年に館長補佐、10年から館長となった。同美術館在職中は、香月泰男をはじめとして地域出身の美術家の回顧展等を企画担当して顕彰につとめ、美術、文化振興のために美術館の運営にあたった。近代美術の研究にあたっては、岸田劉生、香月泰男桂ゆき殿敷侃等の作家研究を中心に、作品に対して冷静な観察と的確な分析に基づく論考を多く残しており、これらは今なお参考にすべき業績である。主要な研究業績並びに担当した展覧会は下記の通りである。
主要論文並びに担当展覧会:
「岸田劉生と草土社」(「岸田劉生と草土社」展、下関市立美術館、1985年)
香月泰男-1940年代の作品から-」(「香月泰男」展、下関市立美術館、1987年)
長谷川三郎とその時代概説」(「長谷川三郎とその時代」展、下関市立美術館、1988年)
「日常的な呼吸の中の版画」(『香月泰男全版画集』、阿部出版、1990年)
桂ゆきの作品をめぐる螺旋的な記述の試み」(「桂ゆき展」、下関市立美術館、1991年)
「新しいリアリズムへ―1940年代以降の展開」(「日本のリアリズム 1920s-50s」展、北海道立近代美術館、下関市立美術館巡回、1992年)
殿敷侃・現代の語り部」(「殿敷侃展 遺されたメッセージ・アートから社会へ」、下関市立美術館、1993年)
解説「宮崎進-透過する眼差し-」(「宮崎進展」、下関市立美術館、笠間日動美術館、平塚市美術館、三重県立美術館、新潟市美術館巡回、1994-95年)
香月泰男の造型的模索―1950年代の作品を中心に―」(「香月泰男展」、愛知県美術館、下関市立美術館、そごう美術館(横浜)巡回、1994-95年)
「『初年兵哀歌』が語るもの」(「浜田知明の全容」展、小田急美術館(東京新宿)、富山県立近代美術館、下関市立美術館、伊丹市立美術館巡回、1996年)
「岸田劉生試論-静物・風景・人物- 所蔵油彩作品を中心に」(『研究紀要』8、下関市立美術館、2001年)
「作品解説-画風の展開とその特質-」(『香月泰男画集 生命の讃歌』、小学館、2004年、同書では安井雄一郎とともに編集委員をつとめる)
「下関の戦後美術(洋画篇)」(「戦後美術と下関」展、下関市立美術館、2005年)
香月泰男・1940-50年代の展開~モダニズムから新たな地平へ~」(「没後35年 香月泰男と1940-50年代の絵画」展、下関市立美術館、2009年)
桂ゆきの眼差し-その批評精神をめぐって-」(「生誕百年 桂ゆき-ある寓話-」展、東京都現代美術館、下関市立美術館巡回、2013年)

出 典:『日本美術年鑑』平成28年版(532頁)
登録日:2018年10月11日
更新日:2019年06月06日 (更新履歴)
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