「古密教

2005年07月

日本密教の胎動」展開催 平安時代はじめ空海によって日本に密教が伝えられたといわれるが、すでに奈良時代から数多くの密教経典が伝えられている事実に注目した展覧会が、7月26日より奈良国立博物館にて開催された。内容は、奈良時代の洗練された古典美に、密教特有の呪術性が加わった造形性に焦点をあてその独自性を検証するため文化財108件が出品された。(会期、9月4日まで。)

「松島天橋立厳島

2005年08月

日本三景」展開催 江戸時代以降、「日本三景」としてひろく知られた松島(宮城県)、天橋立(京都府)、厳島(広島県)の海浜景観に注目し、それに関わる文化財によって構成した展覧会が、8月2日より広島県立美術館で開催された。内容は、「日本三景」に関わる中世の絵巻から近世の名所風俗図屏風、写生・真景図、風景版画、近現代の日本画まで絵画作品を中心に130点あまりで構成され、その景観の美しさに魅せられつづけた日本人の美意識の展開と、現代における意味を問い直す機会となった。(会期、9月4日まで。京都文化博物館、東北歴史博物館に巡回。)

人間国宝指定

2005年07月

文化審議会(阿刀田高会長)は、7月15日、5人を重要無形文化財の保持者(人間国宝)に認定するように中山成彬文部科学大臣に答申した。「工芸技術の部」では、鉄釉陶器の原清(69)、紬織の佐々木苑子(66)、鋳金の大沢光民(63)、竹工芸の勝城蒼鳳(71)の4人が選定された。今回の認定で、芸能59人、工芸技術58人の計117人となった。ほかに文化財を守る技術である「選定保存技術」として金唐紙製作の上田尚(71)、石盤葺の佐々木信平(58)が選定された。

「模写模造と日本美術-うつすまなぶつたえる-」展開催

2005年07月

洋の東西を問わず古今の多くの芸術家が試みていた模写・模造に焦点をあてた展覧会が、7月20日より東京国立博物館で開催された。同展では、江戸時代の狩野派を中心とする画家による名画の模写から明治時代に岡倉天心が中心となってすすめた模写・模造作品、さらに近年までの文化財保護の目的から行われた模写まで幅広く作品を展示し、創作、文化財保護等の面から「模写・模造」の意味を考える内容となった。(会期、9月11日まで。)

高松塚古墳石室解体保存決定

2005年06月

国の特別史跡である高松塚古墳(奈良県明日香村)で国宝壁画の修復保存策をめぐり、文化庁の恒久保存対策検討会(座長、渡辺明義・前東京文化財研究所長)が、6月27日に都内で開かれた。会議の結果、「現在の環境で壁画を維持するのは困難」として、墳丘を掘り壁画の描かれた石室を取り出す石室解体案の採用を決めた。壁画の修復が完了した段階で、石室を墳丘に戻す方針だが、特別史跡の現状を大幅に変更するという措置となり異例の判断となった。

「明代絵画と雪舟」展開催

2005年07月

日本の中世画壇の巨匠雪舟等楊を軸に同時代の中国明代絵画との比較を試みた展覧会が、7月2日より根津美術館で開催された。内容は、雪舟の作品10件を中心に、新たに紹介された作品を含む明代絵画60件を加え、両者の比較及び日本の中世絵画と密接な関係にある明代絵画の展開を紹介するものであった。(会期、8月14日まで。)

「東京大学コレクションⅩⅩ

2005年06月

関野貞アジア踏査」展開催 国内にとどまらず朝鮮半島、中国大陸にわたるまで踏査し、今日の建築史、考古学、美術史にわたって幅広く業績を残した関野貞の収集した学術標本を中心にした展覧会が、6月4日より東京大学総合研究博物館で開催された。内容は、関野の幅広い関心を反映し、かつその先駆的な業績を検証するため、学際的で多面的な視点から見直されており、同展のために編集された図録は、その記録として貴重なものであった。(会期、9月4日まで。)

第9回手塚治虫文化賞決定

2005年06月

戦後のマンガ文化に大きな業績を残した手塚治虫を記念する同賞の第9回受賞者が決定した。昨年発行されたすべてのマンガ単行本の中で最も優れた作品に贈られるマンガ大賞は、手塚治虫の「鉄腕アトム」をリメイクした浦沢直樹(45)の「PLUTO」、清新な才能や斬新な表現に与えられる新生賞には、「夕凪の街 桜の国」のこうの史代(37)が選ばれた。また、マンガ文化の発展に貢献した個人・団体に贈られる特別賞には川崎市市民ミュージアムが選ばれ、同館のマンガ作品や資料の収集、企画展開催等の活動が評価された。6月7日、東京・丸の内の東京会館で贈呈式が行われた。

「構造社展

2005年06月

昭和初期彫刻の鬼才たち」展開催 1926年に結成された彫刻を中心とする在野団体「構造社」の活動の作品を初めて回顧する展覧会が、6月18日より福井市美術館(アートラボふくい)で開催された。内容は、同団体の主要な会員20名の作品、資料等を展示するとともに、これまで検証が充分におこなわれてこなかった昭和前期における彫刻と建築、記念碑、装飾美術、絵画等との多彩な関係を見直す機会となった。(会期、7月16日まで。宇都宮美術館、札幌芸術の森美術館、松戸市立博物館に巡回。)

史跡名勝の指定

2005年05月

文化審議会(阿刀田高会長)は、5月20日、旧富岡製糸場(群馬県富岡市)など15件を史跡に、香具山、畝傍山、耳成山の大和三山(奈良県橿原市)など3件を名勝に、ほかに草岡の大明神ザクラ(山形県長井市)を天然記念物に指定するように中山成彬文部科学大臣に答申した。

「アジアの潜在力―海と島が育んだ美術」展開催

2005年05月

東アジアの海洋地域の美術、工芸作品を支える技術、意匠を海を通じての伝播から見直そうとするユニークな発想に基づく展覧会が、5月24日より愛知県美術館で開催された。内容は、歴史的、作品のジャンル的な分類からはなれ、「Ⅰ彫る」、「Ⅱ染める」、「Ⅲ型取る、肉づける」という人間と自然の素材との関係を三章によって分類構成し、土器、民俗遺品から現代美術作品まで網羅され、「海」で繋がり、交流した跡を大胆に提示した展覧となり、アジアの今日を考える上で、後に上げる「アジアのキュビスム」展とは対照的なアプローチであった。(会期、7月10日まで。)

建造物の重要文化財指定の答申

2005年04月

文化審議会(阿刀田高会長)は、4月22日、建長寺(神奈川県鎌倉市)の山門と法堂など9件を重要文化財(建造物)に指定するように中山成彬文部科学大臣に答申した。また青森県黒石市の中町保存地区など3ヶ所を重要伝統的建造物群保存地区に選定するように答申した。

第24回土門拳賞受賞者決定

2005年04月

昨年一年間に作品を発表したプロ、アマを問わない写真家を対象とする同賞(毎日新聞社主催)の第24回受賞者に、「PIERCING THE SKY―天を射る」(東京都写真美術館、求龍堂より同名の写真集を刊行)を開催した坂田栄一郎(64)が決定した。同賞受賞作品展が、4月25日から5月14日まで銀座ニコンサロンで開催された。

日本芸術院賞受賞者決定

2005年03月

日本芸術院(三浦朱門院長)は、3月24日、芸術の分野で顕著な功績のあった人に贈る平成16年度の日本芸術院受賞者を決定した。恩賜賞・日本芸術院賞の第1部(美術)受賞者には、日本画家川崎春彦(76)(日展出品作「朝明けの湖」に対して)、日本芸術院賞には、洋画家寺坂公雄(71)(日展出品作「アクロポリスへの道」に対して)、彫刻家能島征二(63)(日展出品作「慈愛―こもれび」に対して)、書家黒野清宇(74)(日展出品作「梅の花」に対して)が選ばれた。授賞式は、6月20日に東京・上野の日本芸術院会館で行なわれた。

「曽我蕭白

2005年04月

無頼という愉悦」展開催 曽我蕭白は、近年の研究により、これまで伊勢出身といわれていたが、京都の商家の生まれであったことが判明した。その蕭白がなぜ伊勢及び播州を中心に創作活動をおこなったのか、その理由を明らかにすべく、蕭白芸術の全貌を見直す展覧会が、4月12日より京都国立博物館で開催された。内容は、山水、絵馬、花鳥、人物の4章から構成、122点が出品され、これまでと異なった画家像を検証する試みとなった。(会期、5月15日まで。)

第12回VOCA賞受賞者決定

2005年03月

具象、抽象の区別なく、絵画、平面表現に取り組む40歳以下の作家を対象とした「VOCA」展(同展実行委員会、財団法人日本美術協会、上野の森美術館主催)の最高賞であるVOCA賞は、日野之彦の「あおむけ」、「口に両手」に決定した。奨励賞には、居城純子、中川トラヲの2名、佳作賞に手塚愛子、羽毛田優子の2名が選ばれた。なお展覧会は、3月15日から30日まで上野の森美術館で開催された。

国宝の答申

2005年03月

文化審議会(阿刀田高会長)は、3月18日、熊野速玉大社(和歌山県新宮市)の「木造熊野速玉大神坐像」4体を国宝に指定するように中山成彬文部科学大臣に答申した。また、曽我蕭白の「紙本著色群仙図六曲屏風」(文化庁所蔵)など46件を重要文化財(美術工芸品)に指定するように答申した。あわせて日本初のテレビ塔である「名古屋テレビ塔」など197件を登録有形文化財(建造物)にするように求めた。

「ゴッホ展

2005年03月

孤高の画家の原風景」展開催 「花魁(渓斎英泉による)」、「種まく人」、「夜のカフェテラス」、「子守女(ルーラン夫人の肖像)」、「糸杉と星の見える道」等、オランダのファン・ゴッホ美術館、クレラー=ミュラー美術館等の所蔵するゴッホの作品30点を中心とする展覧会が、3月23日より東京国立近代美術館で開催された。内容は、フィンセント・ファン・ゴッホの生涯と芸術を、歴史的、文化的背景から学術的に見直そうとするものであったが、東京展では、会期中に518,307人、大阪展では360,613人、愛知展では423,745人という、いずれも記録的な入場者数にのぼった。これは国内におけるゴッホに対する一般の人気だけではない、社会的な事象として記録されるべきであり、社会における美術愛好層の拡大と観客動員の今日における意味を考えさせる結果となった。(会期、5月22日まで。国立国際美術館、愛知県美術館に巡回。)

芸術選奨受賞者決定

2005年03月

芸術の分野で昨年一年間に優れた業績をあげた人々に贈られる芸術選奨の受賞者が、3月8日文化庁より発表された。美術関係では、日本画家中野嘉之(59)(個展「天空水」)、写真家宮本隆司(57)(世田谷美術館での個展「壊れゆくもの・生まれいずるもの」)が文部科学大臣賞、また建築家青木淳(48)(作品集『青木淳 JUN AOKI COMPLETE WORKS1 1991-2004』に収められた建築群)、「芸術振興」として三鷹の森ジブリ美術館長宮崎吾朗(38)(同美術館の企画展等)が同新人賞を受賞した。贈呈式は、3月15日に都内のホテルで行われた。

「自然をめぐる千年の旅―山水から風景へ」展開催

2005年03月

「自然の叡智」をメインテーマとする「愛・地球博」(2005年日本国際博覧会)開催を記念して、同テーマのもとに日本美術の歴史と伝統をふりかえる展覧会が、3月11日より愛知県美術館で開催された。内容は、「第一章 聖なる自然」、「第二章 理想の風景」、「第三章 季節の中で」、「第四章 動植物へのまなざし」、「第五章 実在の場所―名所絵から風景画へ」の5章から構成され、8世紀の「過去現在因果経」(国宝)から近代美術までの日本の絵画の優品156点が出品された。(会期、5月8日まで。)

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