日本芸術院新会員決定

2005年11月

日本芸術院(三浦朱門院長)は、11月29日、新会員9人を発表した。第一部(美術)では、洋画家寺坂公雄(72)、彫塑の蛭田二郎(72)、陶芸家の河合誓徳(78)が選ばれた。これにより、現在の定員120名に対して、今回の補充により会員数は114人となった。

第17回倫雅美術奨励賞受賞者決定

2005年12月

新鋭の美術評論家や美術史家を顕彰する倫雅美術奨励賞(同基金主催)の第17回目の受賞者が決定した。「美術評論部門」では「滝口修造―夢の漂流物」展の企画及びカタログ中の論文により杉山悦子(世田谷美術館)に、「美術史研究部門」では「安井仲治―写真のすべて」展の企画及びカタログ中の論文により光田由里(渋谷区立松涛美術館)が選出された。授賞式は、12月12日、東京、赤坂プリンスホテルで行われた。 

第27回サントリー学芸賞受賞者決定

2005年11月

サントリー文化財団主催の同賞の受賞者が、11月10日に発表された。「芸術・文学部門」では、宮下規久朗(神戸大学)『カラヴァッジョ』(名古屋大学出版会)が選出された。贈呈式は、12月9日、東京丸ノ内の東京会館で行われた。

重要文化的景観の指定答申

2005年11月

文化審議会(阿刀田高会長)は、11月18日、文化財保護法の改正(2005年4月1日施行)に伴い、新たに設けられた「重要文化的景観」に近江八幡の水郷(滋賀県近江八幡市)の選定を小坂憲次文部科学大臣に答申した。また、同法改正で所有者の自主的な保護に期待する登録制度を建造物以外の記念物(名勝地)にも広げ、函館公園(北海道函館市)など3件が答申された。

キトラ古墳の保存検討

2005年11月

国の特別史跡であるキトラ古墳(奈良県明日香村)の壁画保存策を検討している文化庁の調査研究委員会(座長、藤本強・国学院大学教授)は、11月14日に奈良県で会議を持ち、壁画を石壁ごと取り出す部分解体も視野に入れて検討することを確認した。

文化人による国立博物館美術館文化財研究所の独立行政法人見直しに対する危惧の声明

2005年11月

独立行政法人の見直しを進める政府の有識者会議(座長、飯田亮セコム最高顧問)が、10月28日、小泉純一郎首相に提出した指摘事項の中に、国立博物館、国立美術館、文化財研究所の3法人の統合が求められていた。これに対して、平山郁夫(東京芸術大学学長)、高階秀爾(大原美術館長)が呼びかけ人となり、「効率性追求による文化芸術の衰退を危惧する」との声明書を、36人の文化人賛同者を加えて、11月9日、小坂憲次文部科学大臣と河合隼雄文化庁長官に手渡した。

国立博物館と文化財研究所の統合の勧告

2005年11月

総務省に設置されている政策評価・独立行政法人評価委員会(丹羽宇一郎委員長)は、11月14日、独立行政法人の改廃に関する「勧告の方向性」をまとめ、関係する9府省の閣僚に通知した。ここで、文部科学省所管の国立博物館と文化財研究所の統合が求められた。

建造物の重要文化財指定の答申

2005年10月

文化審議会(阿刀田高会長)は、10月28日、東大寺二月堂を国宝に、旧渋沢家飛鳥山邸(東京都北区)など9件の建造物を重要文化財に指定するように中山成彬文部科学大臣に答申した。これにより建造物の国宝は213件、257棟となった。

「昭和の美術

2005年11月

1945年まで―<目的芸術>の軌跡」展開催 昭和戦前期の美術界において、政治社会的な目的から統制に向かうプロパガンダ的な美術と、大衆からの主張としてのプロレタリア美術運動の両面を横断的に検証しようとする展覧会が、11月3日より新潟県立近代美術館で開催された。内容は、「Ⅰ社会闘争の時代―プロレタリア美術運動の高潮と終焉」、「Ⅱ戦争と全体主義の時代―拡張する戦争美術とその諸相」の2部から構成され、上記の両極の美術を「目的芸術」と一括してみようとする視点にたち、戦前期の美術が矛盾を内包しながら、一方で多くの共通点をもち激動の時代のなかで創作されていった軌跡を正面から辿ろうとした展覧であった。(会期、12月11日まで。)

第17回国華賞受賞者決定

2005年10月

日本及び東洋の美術をテーマにした研究論文を対象に創設された同賞(同賞顕彰基金主催)受賞者が公表された。国華賞には、武藤純子『初期浮世絵と歌舞伎』(笠間書院、2005年3月)、また国華奨励賞に姜素妍「朝鮮前期の観音菩薩の様式的変容とその応身妙法の図像―京都・知恩院蔵<観世音菩薩三十二応幀>の明朝形式の受容を中心に」(『仏教芸術』276号、2004年9月)と福島泰子「アジャンター第17窟<シンハラ物語>図―場面解釈の再検討と物語表現の特質」(『国華』1316号、2005年6月)が選ばれた。贈呈式が、10月27日朝日新聞社東京本社で開催された。

文化勲章、文化功労者決定

2005年10月

政府は、10月28日、平成17年度の文化勲章受章者5人と文化功労者15人を発表した。美術関係では、陶芸の青木竜山(79)が文化勲章を受章。また、美術評論家の高階秀爾(73)、彫刻家の建畠覚造(86)が文化功労者に選ばれた。

「北斎展」開催

2005年10月

国内外において最も親しまれている浮世絵師葛飾北斎の全貌を紹介する展覧会が、10月25日より東京国立博物館において開催された。内容は、70年に及ぶ画業を下記のとおり6期に分け、肉筆画、錦絵、版本等495点が出品された。構成は、「第一期 春朗期-習作の時代」、「第二期 宗理期-宗理様式の展開」、「第三期 葛飾北斎期-読本挿絵への傾注」、「第四期 戴斗期-多彩な絵手本の時代」、「第五期 為一期-錦絵の時代」、「第六期 画狂老人卍期-最晩年」となっていた。なお、同展には会期中332,939人の入館者があり、同館の同年の特別展としては、4月開催の「世界遺産・博物館島 ベルリンの至宝展―よみがえる美の聖域」(337,475人)に次ぐ記録となった。(会期、12月4日まで。)

「もの派―再考」展開催

2005年10月

日本の戦後、現代美術を顧みるとき、ひとつの大きなエポックとなった「もの派」の芸術を今日的な視点から見直す展覧会が、10月25日より国立国際美術館で開催された。「もの派」とは、もとよりひとつのグループの名称ではない。むしろ同時代的におきた芸術の既成概念に対する異議、批判をこめた「素材」を表現に転化した芸術家たちの総称であった。同展では、そうした時代の現象に対して発端としての高松次郎、関根伸夫、さらに展開させた李禹煥等に焦点をあてて「もの派」の歴史的な意味を問い直す試みであった。(会期、12月18日まで。)

九州国立博物館開館

2005年10月

全国で4番目の国立博物館として同博物館(福岡県太宰府市)が、10月16日から一般公開され、開館特別記念展「美の国 日本」が開催された。同博物館は、「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」ことを基本理念としている。また施設は、地下2階、地上5階建てで、延べ床面積30,000平方メートル、常設展示室は約4,000平方メートルで、太宰府天満宮に近接している。

第17回世界文化賞

2005年10月

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(総裁、常陸宮殿下、財団法人日本美術協会主催)の第17回授賞式が、10月18日、東京・上野の東京国立博物館平成館で行われた。美術関係の受賞者は、絵画部門では、ロバート・ライマン(75、アメリカ)、彫刻部門では三宅一生(67)、建築部門では谷口吉生(68)が選ばれた。

三井記念美術館開館

2005年10月

約300年の伝統をもつ三井家が江戸時代から収集した日本東洋の美術品を展示していた三井文庫別館が三井本館(中央区日本橋室町2)に移転し、10月8日に三井記念美術館として開館した。施設は、同館7階(2870平方メートル)に設けられ、展示室は915平方メートル。開館記念展として「美の伝統 三井家伝世の名宝」展を開催し、国宝6点、重要文化財20点を含む所蔵品が展示された。(会期、12月25日まで。)

「復古大和絵師

2005年10月

為恭-幕末王朝恋慕」展開催 江戸時代後期に古画の名品から直接学ぶことで、大和絵の復興をはかった一群の復古大和絵派のなかでも棹尾をかざる幕末の岡田為恭をとりあげた展覧会が、10月8日より大和文華館で開催された。内容は、幕末期に大和絵の近代化をはかった為恭の全貌を紹介するために、93点の作品によって構成され、その芸術の再評価が意欲的、実証的にめざされていた。(会期、11月13日まで。)

「中世信濃の名僧-知られざる禅僧たちの営みと造形」展開催

2005年10月

中世の信濃において中国大陸の精神文化との交流を果たしていた禅僧たちの活動に注目した展覧会が、10月15日より飯田市美術博物館において開催された。同市上川路の畳秀山開善寺(臨済宗妙心寺派)は、官寺として鎌倉五山に次ぐ十刹の地位を得て重きをおかれていた。来朝僧清拙正澄の開山になる同寺の所蔵品を中心に、中世信濃に縁のある禅僧に関わる絵画、彫刻、墨蹟等65点が出品され、中世における一地方と大陸文化との豊かな交流を、禅僧たちの営みを通じて歴史的、文化的に検証した展覧会となった。(会期、11月23日まで。)

「アジアのキュビスム―境界なき対話」展開催

2005年08月

20世紀初頭にヨーロッパで生まれたキュビスムが、アジア各地においてどのように受容され、展開されていったかを検証する国際展が、8月日より東京国立近代美術館で開催された。内容は、中国、台湾、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイのアジア諸地域で、キュビスムがひとつの「西洋」のモダニズム様式にとどまらず、個々の地域の時代と社会、文化的背景の中で多様、多彩に受容されたことを示すものとなり、アジアの「近代」を再考する初めての、しかも国際的な試みであった。(会期、10月2日まで。徳壽宮美術館(韓国国立現代美術館分館)、シンガポール美術館に巡回。)

「日本のアールヌーヴォー―1900-1923

2005年09月

工芸とデザインの新時代」展開催 1900年のパリ万国博覧会に契機に日本にもたらされた「アール・ヌーヴォー」を受容とその発展としての創作の面から見直す展覧会が、9月17日より東京国立近代美術館工芸館で開催された。内容は、「Ⅰ 日本人が見たヨーロッパの世紀末」、「Ⅱ 日本のアール・ヌーヴォー」、「Ⅲ Life生活/生命―日本のアール・ヌーヴォーのその後」から構成され、同時代の様式を受容した日本の芸術家たちの多様な創作が多岐にわたり展覧された。(会期、11月27日まで。)

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