「菊畑茂久馬回顧展 戦後/絵画」開催

記事番号:05093
年月:2011年07月

日本の戦後美術の代表的作家のひとりである菊畑茂久馬のデビューから現在までのしごとを振り返る「菊畑茂久馬回顧展 戦後/絵画」が9日から8月28日まで福岡市美術館で、16日から8月13日まで長崎県美術館で行われた。オブジェ、絵画、ドローイング、テレビ番組等多岐にわたる菊畑のしごとの全貌を展観するため2館に分けられた同展は、323点の出品作を福岡市美術館がオブジェを中心に「戦後」の部分を、長崎県美術館が1980年代半ば以降の大作を含む「絵画」の部分を展観し、それぞれが独立した展覧会としても鑑賞可能なかたちで紹介する意欲的な企画となった。1950年代に「九州派」の旗手として注目された後、1960年代後半から約20年間、著作、テレビ番組制作などにたずさわっていわゆる美術界から距離を置き、1980年代半ばから大作の絵画作品を次々と発表する菊畑の足跡は、戦後、日本各地で起こった前衛的な動きが1970年の大阪万博や高度成長期を経て大都市を中心とする新たな美術界の秩序の中で変貌していくさまを映し出し、戦後美術の再考を促す問題を提起した。

登録日: 2014年09月17日
更新日: 2020年12月11日 (更新履歴)
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