岩野勇三

没年月日:1987/08/25
分野:, (彫)

東京造形大学教授、新制作協会会員の彫刻家岩野勇三は、8月25日午前11時30分、肺ガンのため東京都千代田区の九段坂病院で死去した。享年56。昭和6(1931)年7月9日新潟県高田市に生まれる。同24年新潟県立高田高校在学中に佐藤忠良にデッサンを学び始め、25年同校を卒業して上京。ひき続き佐藤忠良に師事するうち彫刻家を志し30年第19回新制作展に「タケダ君の首」「立つ女」で初入選。35年同会会員となる。38年第1回宇部野外彫刻コンクールに入選。41年東京造形大学建学と同時に彫刻科の教員となる(42年度助教授、54年度教授就任)。44年第4回昭和会展で林武賞受賞。48、50年、彫刻の森美術館大賞展に指名出品。51年上越市庁舎前広場に『おまんた』を設置。53年横浜市羽衣町広場に『笹と少年』を、55年第一勧業銀行本店に『まつり』を設置する。55年第1回高村光太郎大賞展優秀賞、61年裸婦像「なほ」で第17回中原悌二郎賞を受賞する。一貫して堅実な写実的追求の姿勢を貫き、人物をモティーフとして内面性のにじみ出る作風を示す。初期には「母」「待合室」などの、風俗的主題の着衣像を主に制作し、のち裸婦を多く手がけるようになり「くみ」「あい」「なほ」など少女の面影の残る、若く清新な生命感ある作品を制作した。著書に『彫塑を始める人へ』(アトリエ出版社)、『彫塑』(日貿出版社)がある。63年8月東京、現代彫刻センターで「追悼 岩野勇三」展が開かれた。

出 典:『日本美術年鑑』昭和62・63年版(334-335頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「岩野勇三」『日本美術年鑑』昭和62・63年版(334-335頁)
例)「岩野勇三 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9925.html(閲覧日 2024-04-26)

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