白田貞夫

没年月日:2017/08/12
分野:, (美関)
読み:しろたさだお

 シロタ画廊主の白田貞夫は8月12日、都内の聖路加国際病院で肺がんのため死去した。享年84。
 1933(昭和8)年6月26日山形県生まれ。学業修了後、日産自動車に務める。もの書きを目指すうち、武蔵野美術大学油絵科卒業の英子夫人と知り合い、66年3月15日、中央区銀座3丁目5番15で開廊。版画は小さなスペースでも数多く扱えるため、版画を中心に扱うこととした。画廊のマークは具体のメンバーでもあった岡田博による。70年、常設展示のスペースを確保するため、銀座7丁目10番8に移転する。以後、国内外の作家が発表を行なってきた地下の空間は、版画家だけでなく、若手を含め多くの作家の寄りどころとなってきた。69年の福地靖の詩画集の刊行以来、2003(平成15)年までプロデュースした版画集は45集にのぼり、美術界に着実な軌跡を残してきた。画廊で発表をしてきた作家に、日和崎尊夫、中林忠良、司修、島州一、黒崎彰、柄沢齊、多賀新、坂東壮一、小林敬生、山中現、丹阿弥丹波子、李禹煥らがいる。特異なところでは現代美術家の加賀谷武の個展を定期的に行なっている。76年日本現代版画商組合が設立されると理事として活動、85年から91年まで同組合理事長を務め、その後も理事、名誉理事として版画界に貢献した。16年6月には作品や記録写真による「シロタ画廊50年の歩み展」が開催された。19年には生前から企画に関わってきた『李禹煥全版画1970―2019』が刊行された。画廊は白田没後、英子夫人とスタッフにより運営されている。

出 典:『日本美術年鑑』平成30年版(451頁)
登録日:2020年12月11日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「白田貞夫」『日本美術年鑑』平成30年版(451頁)
例)「白田貞夫 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/824311.html(閲覧日 2024-04-16)
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