原田治

没年月日:2016/11/24
分野:, (その他)
読み:はらだおさむ

 イラストレーターの原田治は11月24日、死去した。享年70。
 1946(昭和21)年4月27日、東京都築地で輸入食料品の卸売商を営む家に生まれる。小学生の頃より洋画家の川端実に師事。抽象画家を志すも、生計のための制作であってはならないという川端の助言で諦め、多摩美術大学のデザイン科に進学する。69年、同大学グラフィックデザイン科を卒業。卒業後渡米し、ニューヨークでプッシュピン・スタジオによるイラストレーションに刺激を受ける。帰国後の70年、アートディレクター堀内誠一の起用により雑誌『an・an』の創刊号でイラストレーターとしての活動を開始、以後、出版や広告の仕事が舞い込むようになる。70年代前半は雑誌や広告の内容に合わせて約10種類のスタイルを編み出し、様々な仕事の需要に応えるが、75年にコージー本舗の石井静夫が原田のイラストレーションを使った雑貨商品の製作販売を依頼したことにより、キャラクターグッズの“オサムグッズ”を開発、オリジナルのスタイルを確立する。欧米の絵本や50年代のアメリカ文化の要素を取り入れた“オサムグッズ”は、80年代にファンシーグッズ店の増加とともに全国的なブームとなった。79年、ペーター佐藤、安西水丸、新谷雅弘等とともにパレットクラブを結成。1997(平成9)年には築地にパレットクラブ・スクールを設立、エンターテインメントとしてのイラストレーションの心構えを講じる。著書に『EXTRAORDINARY LITTLE DOG』(PARCO出版、1981年)、『ぼくの美術帖』(PARCO出版、1982年)、『オサムグッズ・スタイル』(ピエ・ブックス、2005年)等。児童向け絵本の挿絵も手がけ、『かさ』(福音館書店、1992年)、『ももたろう』(小学館、1999年)、『ハイク犬』(学習研究社、2008年)等がある。没する直前の2016年7月1日から9月25日まで、弥生美術館で「オサムグッズの原田治展」が開催。また07年から10年まで『芸術新潮』に連載の美術エッセイを中心にまとめた『ぼくの美術ノート』は、没した翌年の17年2月に亜紀書房より刊行された。

出 典:『日本美術年鑑』平成29年版(562-563頁)
登録日:2019年10月17日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「原田治」『日本美術年鑑』平成29年版(562-563頁)
例)「原田治 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/818891.html(閲覧日 2024-04-20)

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