鈴木慶則

没年月日:2010/11/21
分野:, (美)
読み:すずきよしのり

 画家の鈴木慶則は11月21日、脳こうそくのため静岡市内の病院で死去した。享年74。1936(昭和11)年1月13日、静岡県清水市(現、静岡市清水区)に生まれる。腺病質で友だちがいなく、孤独な幼少期にひとりでできる遊びとしてクレヨン画をよく描いた。実家はもともと地主であったが農地改革で土地を失い、父は終戦時に結核で亡くなった。高校では美術部に入り、図書館で見つけた福島繁太郎著『エコール・ド・パリ』がきっかけで美術にのめり込む。54年多摩美術大学美術学部絵画科(油画)に入学。在学中は大沢昌助川端実末松正樹らに学ぶ。57年第25回独立展に出品し入選。4年生のときに清水市にある鈴与倉庫に勤める義理の姉の同僚であった木村泰典(石子順造の本名)と出会い、翌年静岡でグループ「白」を結成。大学卒業後は、清水市立第一中学校に美術教師として赴任、教職と並行して作家活動を行う。58年第11回日本アンデパンダン展(日本美術会主催)に出品、以後61年第14回展まで毎年出品を続ける(第14回展は「グループ「白」、石子順造鈴木慶則」名義で出品)。58年静岡県展で中部日本新聞社賞を受賞。59年第7回ニッポン展に出品。60年村松画廊で「伊藤隆史・鈴木慶則」展を開催。同年石子順造、伊藤隆史とともに評画・記録漫画の冊子『フェニックス』を創刊。同年第13回前衛美術展に出品、以後出品を続ける。このころ静岡雙葉学園に移り、13年間非常勤として勤務。63年第15回読売アンデパンダン展に出品。同年清水・純喫茶フレンドで個展を開催。64年アンデパンダン’64展に出品。65年椿近代画廊において東京での初個展を開催。同年東京芸術柱展(東京都美術館)に出品。66年静岡の作家とともに前衛美術グループ「幻触」を結成し、中心メンバーとして活動。同年第10回シェル美術賞展で佳作賞を受賞。67年第11回シェル美術賞展で2等受賞。同年「50A.F.(Apres “La Fountaine”)」展(ギャラリー新宿、企画=石子順造、刀根康尚)に出品。68年「トリックス・アンド・ヴィジョン」展(村松画廊、東京画廊、企画=石子順造中原佑介)に出品。同年第8回現代日本美術展コンクール部門で入選。同年第5回長岡現代美術館賞展に招待出品。69年第9回現代日本美術展第2部「現代美術のフロンティア」に招待出品。同年「現代美術の動向」展(京都国立近代美術館)に招待出品。同年「今日の美術-静岡」展(静岡県民会館)に出品し今日の美術展大賞を受賞。60年代後半から、名品とされる絵画や彫刻をモチーフにトロンプ・ルイユ(だまし絵)の技法を用いた平面作品を展開、「高橋由一風鮭」(1966年)、<非在のタブロー>シリーズ(1968年~)など発表。70年京都書院画廊で個展を開催。71年第10回現代日本美術展招待部門「状況-物質と行為との対話」に「Twin endress-ring」と題するインスタレーションを出品。同年「言葉とイメージ」展(ピナール画廊、企画=針生一郎)に出品。72年ギン画廊で個展を開催。73年『芸術生活』で連載を1年間担当、「死角の絵画」と題して毎月新作を発表。74年第11回日本国際美術展国内部門「複製、映像時代のリアリズム」に「長谷川等伯風猿猴捉月図」を招待出品。以後、銀座・ギャラリー手(1974年、1978~88年、1992~2009年)、大阪フォルム画廊東京店(1991年)、ソウル・松川画廊(1994年)、ギャラリーQ(2010年)などで個展を開催し、「今日の静物・展」(横浜市民ギャラリー、1975年)、「現代作家6人」展(静岡・ギャラリー美術舎、1982年)、「日仏合同ALAC」展(1985年)、「石子順造とその仲間たち<グループ幻触を中心に>」展(清水・虹の美術館、2001年)、「幻触1968年」展(静岡文化芸術大学ギャラリー、2002年)など多くの企画展に出品。1970年代からあぶり出しによる平面構成、カンバスに金属粉を吹き付ける技法を用いた作品、シリーズ、シリーズなどを展開、素材の物質性に基づいた表現へと変貌した。2010(平成22)年日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴによりインタビューが行われ、同団体のウェブサイトに公開された。

出 典:『日本美術年鑑』平成23年版(452-453頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「鈴木慶則」『日本美術年鑑』平成23年版(452-453頁)
例)「鈴木慶則 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/28516.html(閲覧日 2024-04-26)

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