長塚安司

没年月日:2013/12/11
分野:, (学)
読み:ながつかやすし、 Nagatsuka, Yasushi*

 東海大学名誉教授で、西洋中世美術史研究者であった長塚安司は、12月11日、がんのため東京都新宿区の自宅で死去した。享年77。
 1936(昭和11)年、現在の東京都新宿区で生まれる。60年3月、東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業、専攻科に進学し、62年3月に修了。在学中は、吉川逸治、柳宗玄の指導を受け、その影響もあって西洋中世美術に関心を寄せ、特にロマネスク美術を研究のテーマとした。後年、自ら生活に根差した芸術表現に関心をもち、そこから中世ヨーロッパ美術、とりわけ土着性と地域性の濃厚なロマネスク美術の研究をはじめたと語っていた。64年にパリ第一大学に留学、歴史博士号を取得する。帰国後、東京藝術大学の助手を務めながら、68、70年の同大学の中世オリエント遺跡学術調査隊の一員としてトルコ等に調査に赴いた。74年には、同大学のイタリア初期ルネッサンス学術調査隊に加わり、イタリアのアッシジ等に滞在した。77年4月より、東海大学教養学部芸術学科の助教授として赴任。翌年、同大学のビザンツ史跡調査隊に加わり、ギリシャのラコニアに滞在した。80年に同大学教授となり、2001(平成13)年3月に退職。同大学名誉教授となった。ゴシック美術、ビザンティン美術、初期ルネサンス研究を視野に入れながら、ヨーロッパから西アジアにかけて実地調査を重ね、絵画、彫刻を中心にロマネスク美術研究を進めた。
主要な業績は、下記の通りである。
「十字架降下について Ⅰ」(『美術史』76号、1969年3月)
「十字架降下について Ⅱ」(『美術史』87号、1972年12月)
摩寿意善郎監修、辻茂、茂木計一郎、長塚安司著『アッシージのサン・フランチェスコ聖堂』(岩波書店、1978年)
Yasushi Nagatsuka, DESCENTE DE CROIX son developpement iconographique des origins jusqu’a la fin du XIVe siecle, 東海大学出版会、1979年
下村寅太郎、長塚安司著『世界の聖域 14 アッシジ修道院』(講談社、1981年)(長塚は本文を執筆)
責任編集『世界美術大全集 第8巻 ロマネスク』(小学館、1996年)
「『ウィーン写本』における絵画様式試論―挿絵における衣文の表現を通して―」(『古代末期の写生画 古典古代からの伝統と中世への遺産』(研究代表者越宏一、平成11年度~平成13年度科学研究費補助金研究成果報告書)、2002年)
 他に、98年に開館した大塚国際美術館(徳島県鳴門市)の絵画学術委員として中世美術の部門の監修を務めた。

「*」の読み、ローマ字表記はWeb NDL Authoritiesを利用
出 典:『日本美術年鑑』平成26年版(472頁)
登録日:2016年09月05日
更新日:2019年06月06日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「長塚安司」『日本美術年鑑』平成26年版(472頁)
例)「長塚安司 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/236770.html(閲覧日 2021-06-15)
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