角浩

没年月日:1994/03/30
分野:, (洋)
読み:かどひろし

 新制作協会会員の洋画家角浩は3月30日午前11時3分、心不全のため東京都港区の北青山病院で死去した。享年84。明治42(1909)年10月17日茨城県目立市に生まれる。昭和3(1928)年東京美術学校西洋画科に入学し、岡田三郎助藤島武二に師事。同校在学中の同6年第18回光風会展に「静物」で初入選。同7年第2回独立美術協会展に「女の子」で初入選する。同8年同校を卒業、同12年渡仏しアカデミー・グラン・ショーミエール、アカデミー・コラロッシに学び、サロン・ドートンヌに入選。オトン・フリエツの推薦によりサロン・チュイレリー無鑑査となる。同14年第二次大戦勃発により米国を経由して帰国、戦後の同25年新制作派協会に移り、同年第14回同展で新作家賞を受賞。同28年同会会員となる。同37・38年アメリカを訪れ個展を開催。同46年アフリカ、ヨーロッパ、インドへ旅行。同54年日伯国際展のためフ守ラジルを訪れ、フランシスコ・コマンドール勲章を受章する。同55年東京渋谷の東急本庄にて画業50年展を開催。同58年郷里の広島県立美術館で個展を開催した。昭和10年代の滞仏中は軽快な筆致で色彩豊かな作品を制作したが、同30年代の渡米の後、光沢のある絵具をベインティングナイフで施し、ギリシャ神話、ドンキホーテ、サーカスなどを主題に幻想的な画風を示した。またトキワ松学園女子短大造形美術学科教授として教鞭をとり、同48年より同科長をつとめたのち同大学名誉教授となる。自らの制作を「ネオ・クラシカル・ロマンティシズム」と称し、透明感のある暗色の背景から、白を基調とするそティーフが浮かび上がる独自の画風を示した。

出 典:『日本美術年鑑』平成7年版(343-344頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月26日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「角浩」『日本美術年鑑』平成7年版(343-344頁)
例)「角浩 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10602.html(閲覧日 2024-04-20)

以下のデータベースにも「角浩」が含まれます。

外部サイトを探す
to page top