小杉武久

没年月日:2018/10/12
分野:, (美)
読み:こすぎたけひさ

 作曲家で演奏家の小杉武久は、10月12日食道がんのため死去した。享年80。
 1938(昭和13)年3月24日、東京に生まれる。東京藝術大学楽理科卒業。同大学在学中、水野修孝とともに即興演奏をはじめ、60年に塩見允枝子、刀根康尚らと「グループ・音楽」を結成。61年に第1回公演「即興演奏と音響オブジェのコンサート」(赤坂・草月会館ホール)を開催。その後、ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ、邦千谷、土方巽、VAN映画研究所等、前衛的な芸術家との関係を深め、62年には演奏会「演奏の夕」(新宿・風月堂)での一柳慧との共演、犯罪者同盟による演劇公演「黒くふちどられた薔薇の濡れたくしゃみ」(早稲田大学大隈講堂)音楽担当、飯村隆彦による実験映画「くず」のための音楽作曲、一柳慧作曲「パラレル・ミュージック」で小野洋子らとの演奏(NHK第二放送)等という舞踏・演劇・映像のための音楽へと作品発表の場を広げる。63年、第15回読売アンデパンダン展には真空管ラジオを用いた「Micro 4 / instrument」を出品。64年、オフ・ミューゼアム展(新宿・椿近代画廊)にテルミンを使用した「Malika for Object」を出品。同年、マース・カニングハム舞踏団初来日、ジョン・ケージらと共演。65年に渡米、フルクサスの作家と交流を持つ。68年、現代芸術のシンポジウムExpose1968(草月会館ホール)第二夜、室内楽作品の特集で「Catch Wave ‘68」を発表。69年、クロストーク/インターメディア(代々木国立競技場第二体育館)に「Mano―Dharma,electronic ‘69―1」を発表。同年、小杉を中心としてジャズ、ロック、現代音楽などのジャンルの要素を融合させた即興音楽集団「タージ・マハル旅行団」結成。70年、日本万国博覧会では開会式で電子音響「ロボットのイヴェント」、会期中のお祭り広場のテープ音楽、5月と9月の吉原治良制作「夜のイベント」での音楽を担当した。71年、パリ・コミューン100年祭「ユートピア&ビジョンズ」(ストックホルム現代美術館)のために渡欧、その後、ヨーロッパ各地で演奏、タージ・マハルまでの旅を続け、翌年に帰国。76年、マース・カニングハム舞踊団の公演に参加、タージ・マハル旅行団から離れ、翌77年、米国移住、マース・カニングハム舞踏団専属の作曲家・演奏家に就任、世界各地で公演を行い、また美術館でサウンド・インスタレーションの発表も旺盛に行う。その後、ヴァイオリン演奏家としても活動。82年、ハンブルク美術学校の客員教授赴任。86年、パリのポンピドゥー・センターでの「前衛芸術の日本 1910―1970」展に出品、会場でパフォーマンスも行う。1994(平成6)年、マース・カニングハム舞踊団日本公演(新宿文化センターほか)。2008年、横浜トリエンナーレに参加した。インターメディアアート、即興音楽、サウンド・インスタレーションのパイオニアであり、晩年まで、ジャンルを超え、実験的で何ものにも捉われない自由な表現を追求し続けた。歿後、演奏・展示・映像上映を通じて小杉の活動を振り返る「小杉武久の2019」(深谷・HALL EGG FARM、神宮前・360°、UPLINK渋谷、2019年)が開催された。
 著書に『音楽のピクニック』(書肆風の薔薇、1991年)、小杉や小杉が参加したグループによるメディアに『グループ・音楽』(HEAR sound art library、1996年、CD)、『小杉武久/Performance』(芦屋市立美術博物館、1996年、VHS)、『タージ・マハル旅行団「旅」について』『小杉武久 Catch―Wave ‘97』(いずれもDiskunion―Super Fuji Discs、2008年、CD)等がある。
 美術館での個展には「新しい夏 小杉武久音の世界」(芦屋市立美術博物館、1996年)、「WAVES 小杉武久サウンド・インスタレーション」(神奈川県立近代美術館、2002年、今日の作家Ⅶ)、「小杉武久 音楽のピクニック」(芦屋市立美術博物館、2017―18年)、また国内の美術館での公演として「小杉武久 音の世界 新しい夏 パフォーマンスシリーズ」(芦屋市立美術博物館、1996年)、「日本の実験音楽1960’s演奏会」(水戸芸術館コンサートホールATM、1997年)、「小杉武久コンサート Spacing」(宇都宮美術館、1999年)等がある。川崎弘二編著『日本の電子音楽』(2006年、愛育社、増補改訂版2009年)において、戦後日本の音楽界に旋風をおこした「電子音楽」の作曲家のひとりとしてインタビューが収録されるなど、現代音楽史からも高く評価される。

出 典:『日本美術年鑑』令和元年版(525-526頁)
登録日:2022年08月16日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「小杉武久」『日本美術年鑑』令和元年版(525-526頁)
例)「小杉武久 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/995831.html(閲覧日 2024-05-21)

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