古谷蒼韻
読み:ふるたにそういん
書家で文化功労者であった古谷蒼韻は、8月25日、肺炎のため死去した。享年94。
1924(大正13)年3月3日、京都府巨椋池西の北川顔に生まれる。本名繁(しげる)。1939(昭和14)年尋常高等小学校を卒業し、京都府立師範学校に入学。42年、師範学校に書道専攻科が設立され、中野越南に師事した。小学校教員となり、46年、新制東宇治中学へ書道教員として赴任。隣接する黄檗山萬福寺で費隠の額に感銘を受ける。
51年、水明書道展に出品、53年、第5回毎日書道展に出品し秀作となる。この年、辻本史邑にも師事。翌54年、第10回日展に初入選し、以後、新日展にも出品しつづけ、62年には無鑑査出品、68年、日展会員となる(2013年まで)。58年、辻本史邑急逝により村上三島に師事。71年、第15回現代書道二十人展に推薦作家として出品、73年、日本書芸院展覧会部副部長、日本書芸院特別展観の企画構成を担当。78年、第30回記念毎日書道展の実行委員、同記念中国書蹟名品展特設部展実行委員。以後、読売書法会展、日本書芸院、日展で理事などを歴任した。
自身の展覧会としては、2000(平成12)年に書業五十年記念展を東京と大阪で開催。12年、米寿記念展は京都・東京・名古屋・福岡を巡回。最初の師・中野越南の教えである「真の書」を目指して、和漢の原跡を学びながら、独自の書風を打ち立てた。原跡の鑑賞も重要視し、日本書芸院や読売書法会展では「昭和癸丑・蘭亭展」「禅林墨蹟展」等数多くの展覧会に携わり、普及にもつとめた。
81年、第13回日展出品「流灑」が内閣総理大臣賞。84年、第16回日展出品「萬葉歌」が日本芸術院賞。93年、京都市文化功労者顕彰。06年、日本芸術院会員。10年、文化功労者。
登録日:2022年08月16日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)
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例)「古谷蒼韻」『日本美術年鑑』令和元年版(521頁)
例)「古谷蒼韻 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/995796.html(閲覧日 2024-10-07)
例)「古谷蒼韻」『日本美術年鑑』令和元年版(521頁)
例)「古谷蒼韻 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/995796.html(閲覧日 2024-10-07)
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- ■美術界年史(彙報)
- 1985年03月 第41回日本芸術院賞決定
- 2006年12月 日本芸術院新会員決定
- 2010年10月 文化勲章受章者、文化功労者決定
- 2013年10月 日展、書の部門での審査不正発覚
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