小穴隆一
春陽会会員の洋画家小穴隆一は、4月24日午前8時、急性肺炎のため死去した。享年72才。両親は長野県出身で、小穴は父の任地の長崎県において、明治27年11月28日に生れた。幼稚園、小学校を北海道函館で終え、開成中学校にすすんだが、洋画家を志して中退し、太平洋画会研究所に学び、中村不折に師事した。はじめ太平洋画会展、ついで二科会展に出品、大正11年第9回二科会展には、芥川竜之介をモデルにした「白衣」を出陳した。その後、小杉放庵を敬慕して春陽会展に出品し、大正15年無鑑査に推薦され、また昭和2年には春陽会所属の若い作家のグループ麗人社に第3回展から参加した。昭和9年春陽会会員に推挙され、昭和32年第34回展まで毎年出品したが、その頃健康を害し長い闘病生活に入っていた。随筆もよくし、著書に「くじらのお詣り」「二つの絵」「白いたんぽぽ」「芥川竜之介遺墨集」などがあり、俳号を一游亭と称した。また挿絵においては都新聞連載の坪田譲治作「子供の四季」「竜彦虎彦」などがある。
作品略年譜
夏の日(大正9年二科7回展)、一游亭(二科8回展)、白衣・花(二科9回展)、枇杷(二科10回展)、苺(春陽会3回展)、柘榴・風景(春陽会4回展)、裸婦・風景(春陽会5回展)、柘榴・秋田音頭・盆踊・いちご・桜の園(同7回展)、静物・花・撞球・裸婦・花(同9回展)、乾酪とからし・手鏡・鏡・壁鏡(同12回展)、トラともでる・京都小品・舞妓・静物・他(同14回展)、勝負(同20回展)、椿・静物(同27回展)、裸婦(同30回展)、アマリリス・カトレア(同32回展)、まゆみちやん・静物(同33回展)、静物(同34回展)、画室に於けるT夫人(同35回展)、向日葵・椿(同36回展)。
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)
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例)「小穴隆一」『日本美術年鑑』昭和42年版(141頁)
例)「小穴隆一 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9173.html(閲覧日 2024-10-16)
例)「小穴隆一」『日本美術年鑑』昭和42年版(141頁)
例)「小穴隆一 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9173.html(閲覧日 2024-10-16)
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