桂光春

没年月日:1962/08/31
分野:, (工)

彫金家桂光春は、明治4年9月3日東京葛飾に於て、旧幕臣桂信行の次男として生れた。同15年、彫金家豊川光長の門に入り彫金技術を学び、27年には、明治天皇銀婚式に際し東京市より献上の御物を、師光長と共に謹作した。明治30年、15ケ年の修業を終え師のもとを離れて独立した。この間、明治28年に東京彫工会展で 等賞を受領したのを始め、以後内外の博覧会、展覧会、競技会での受賞は数十回に及んでいる。独立以後の概略の作歴をのべると、明治43年英国皇帝戴冠式に際し、皇室より献上の純銀製金象嵌大花盛器に鳳凰の図を謹作。大正三年日本美術協会、東京牌工会、日本金工協会の審査員、及び鑑査主任を委嘱さる。大正13年巴里万国博に政府の依頼で掛額元祿踊の図並びに游鯉の図を出品す。昭和4年帝国美術院推薦となる。昭和5年ベルギー、リエージュ万国産業博に飾皿を出品大賞牌を受賞す。昭和8年シカゴ万国博に銀製宝石箱を出品受賞。昭和11年オランダ女王の慶事に在日オランダ人一同より献上すべき朧銀花瓶渓山幽煙の図を同国公使パプスト氏より依頼されて製作-等で、その後は戦中、戦後の時代を迎えて製作も少ない。昭和38年8月31日、東京都葛飾区の自宅で老令のため死去した。享年91才。

出 典:『日本美術年鑑』昭和38年版(140頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

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例)「桂光春」『日本美術年鑑』昭和38年版(140頁)
例)「桂光春 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/8978.html(閲覧日 2024-04-23)

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