村井修

没年月日:2016/10/23
分野:, (写)
読み:むらいおさむ、 Murai, Osamu*

 写真家の村井修は10月23日、急性心不全のため東京都内の病院で死去した。享年88。
 1928(昭和3)年9月27日、愛知県知多郡(現、半田市)に生まれる。愛知県立第七中学校(現、愛知県立半田高等学校)を経て、50年東京写真工業専門学校(現、東京工芸大学)を卒業し、写真の仕事を始めた。初期より建築、彫刻などの撮影にとりくみ、建築雑誌や美術雑誌のための撮影を担当。とくに建築家の丹下健三白井晟一、彫刻家の流政之、佐藤忠良、澄川喜一らの作品を多く手がけ、57年には流の作品をテーマとした個展「カメラでとらえた彫刻と空間」(新宿風月堂)を開催。67年には『LIFE』誌の連載テーマ「家族」の日本編を担当した。
 早くから建築写真の第一線で活躍した村井だが、建築や彫刻といった造型物だけでなく、それらが置かれた空間、さらには風土や暮らしといった周囲の環境にも目を向けた独自の作風は高い評価を受けた。一貫してフリーランスの写真家として、最晩年まで約60年にわたり国内外での撮影にとりくみ、また68年から1990(平成2)年まで母校(東京写真大学・東京工芸大学)の講師として後進の指導にあたった。
 その仕事は『旧帝国ホテルの実證的研究』(明石信道著、東光堂、1972年、のち写真・図版版、1994年)以降、単著もしくは写真を担当した共著として書籍にまとめられ、その主なものに『丹下健三 建築と都市』(世界文化社、1975年)、『白井晟一(現代の建築家)』(鹿島出版会、1975年)、『金壽根(現代の建築家)』(鹿島出版会、1979年)、『写真都市』(用美社、1983年)、『世界の広場と彫刻』(現代彫刻懇談会、中央公論社、1983年)、『石の記憶』(リブロポート、1989年)、『前川國男作品集 建築の方法』(美術出版社、1990年)、『そりのあるかたち 澄川喜一作品集』(平凡社、1996年)、『パリ・都市の詩学』(河出書房新社、1996年)、『フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル』(建築資料研究社、2004年)、『京都迎賓館』(平凡社、2010年)などがある。
 このうち『世界の広場と彫刻』により83年第37回毎日出版文化賞特別賞、90年には『石の記憶』により第6回東川賞国内作家賞を受賞。また長年の業績に対し2010年日本建築学会文化賞、12年には日本写真協会賞功労賞を受賞した。14年の第14回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展では韓国館の展示に写真を提供し、金獅子賞をグループ受賞している。
 死去の直前に郷里で回顧展「村井修 半田写真展 めぐり逢ひ」(半田赤レンガ建物他、半田市)が開催され、自選の代表作をまとめた写真集『TIME AND LIFE 時空』(赤々舎、2016年)が出版された。

出 典:『日本美術年鑑』平成29年版(559-560頁)
登録日:2019年10月17日
更新日:2019年10月17日 (更新履歴)
to page top