三上晴子

没年月日:2015/01/02
分野:, (美)
読み:みかみせいこ、 Mikami, Seiko*

 アーティストで多摩美術大学美術学部情報デザイン学科メディア芸術コース教授の三上晴子は1月2日にがんのため死去した。享年53。
 1961(昭和36)年静岡県に生まれる。高校卒業後、上京。カセット・マガジン『TRA』の編集に携わり、アートの評論も執筆。84年から鉄クズ、コンクリート片などの廃棄物を素材にしたオブジェを用いたパフォーマンスを開始。「ナムジュン・パイクをめぐる6人のパフォーマー」(原宿ピテカントロプス)にナム=ジュン・パイク、坂本龍一、細野晴臣、立花ハジメらとともに出演するなど、東京のアートシーンで華やかな存在として注目を集めていたという。翌年5月、サッポロビール恵比寿工場跡で初個展「滅ビノ新造形」を開催、展覧会終了後に『朝日ジャーナル』の連載「筑紫哲也の若者探検 新人類の旗手たち」に取り上げられる。86年、飴屋法水が主宰する劇団「東京グランギニョル」の最終公演「ワルプルギス」で舞台装置を担当。その後も「BAD ART FOR BAD PEOPLE」(東京・飯倉アトランティックビル、1986年)、「Brain Technology」(東京・作家スタジオ、1988年)で、神経や脳を思わせるケーブルやコンピュータの電子基板を使ったオブジェやインスタレーションを発表。その後、ロバート・ロンゴによるキュレーション展への参加を経て、戦争や情報といった生体を超えるネットワークへの関心を募らせ、それまでのモチーフであったジャンクと合体させ、1990(平成2)年にこの時期の集大成となる「Information Weapon」(1:Super Clean Room 横浜・トーヨコ地球環境研究所、2:Media Bombs 東京・アートフォーラム谷中、3:Pulse Beats 東京・P3 art and environment)を開催。91年に渡米、95年にニューヨーク工科大学大学院情報科学研究科コンピュータ・サイエンス専攻を修了、2000年までニューヨークを拠点とし、欧米のギャラリーやミロ美術館(スペイン)、ナント美術館(フランス)などの現代美術館、またトランス・メディアーレ(ベルリン)やDEAF(ロッテルダム)、アルス・エレクトロニカ(リンツ)をはじめとする世界各国のメディアアート・フェスティバルで発表。国内では、92年、NICAF92で池内美術レントゲン藝術研究所のブースで展示。93年、個展「被膜世界:廃棄物処理容器」(ギャラリーNWハウス、Curator’s Eye ’93 vol.3、キュレーター=熊谷伊佐子)、福田美蘭との二人展「ICONOCLASM」(レントゲン藝術研究所)を開催。コンピュータサイエンスを学ぶなかで、不可視の情報と身体の関係へと興味が移行、90年代なかばからは知覚によるインターフェイスを中心としたインタラクティヴな作品として、視線入力による作品「Molecular Informatics: Morphogenic Substance via Eye Tracking」(キャノンアートラボ、1996年)、聴覚と身体内音による作品「存在、皮膜、分断された身体」(NTTインターコミュニケーション・センター常設作品、1997年)、重力を第6の知覚と捉えた作品「gravicells―重力と抵抗」(山口情報芸術センター、2005年)、情報化社会における身体性と欲望を表現した「Desire of Codes―欲望のコード」(山口情報芸術センター、2010年、第16回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞)を発表。2000年に多摩美術大学情報デザイン学科に着任。作品集に『ALL HYBRID』(ペヨトル工房、1990年)、『Jae‐Eun Choi, Seiko Mikami』(都築響一編、京都書院、1990年、Art random 34)、『Seiko Mikami Art works: Molecular Informatics』(Diputacion Provincial De Malaga(スペイン)、2004年)、『gravicells:グラヴィセルズ作品集』(山口情報芸術センター、2004年)、『欲望のコード:Desire of Codes作品集』(NewYork Artist Archives and Books、2011年)などがある。没後、浅草橋のパラボリカ・ビスで「三上晴子と80年代」展が開催され、追悼記事として椹木野衣「追悼・三上晴子―彼女はメディア・アーティストだったか」(ウェブマガジン『ART iT』)などが寄せられた。

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出 典:『日本美術年鑑』平成28年版(524-525頁)
登録日:2018年10月11日
更新日:2019年06月06日 (更新履歴)
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