浅野清
法隆寺昭和大修理に参加したことで知られ、元興寺文化財研究所長をつとめた建築学者浅野清は、8月19日午前10時55分、多臓器不全のため、愛知県瀬戸市陶生病院で死去した。享年86。明治38(1905)年、名古屋市に生まれ、大正15(1926)年名古屋高等工業学校建築科を卒業。昭和9(1934)年、法隆寺国宝保存工事事務所技手となり、法隆寺建築物の復元、修理に尽力する。同20年、同事務所所長、同23年国立博物館奈良分館勤務となり、同27年より奈良学芸大学助教授と奈良国立文化財研究所研究員を併任した。同28年奈良学芸大学教授、同31年大阪市立大学教授、同43年大阪工業大学教授、同48年愛知工業大学教授として、古建築の復原調査・研究を後進に指導。同57年元興寺文化財研究所所長兼副理事長、平成2(1990)年同理事長兼所長となった。この間、昭和26年に「上代建築の復原的研究」で日本建築学会賞受賞、同27年「奈良時代を中心とする日本建築遺構の復原的研究」で京都大学より工学博士の学位を受ける。また、同60年には「建築遺構ならびに遺跡にたいする実証的研究方法の確立と復原研究による日本建築史学および関連史学への貢献」で日本建築学会大賞を受賞。社寺建築のみならず、民家研究でも知られ、著書に『奈良時代建築の研究』(中央公論美術出版、昭和44年)、『法隆寺の建築』(同、同59年)、『大阪府の民家』1~3(大阪府文化財調査報告、大阪府教育委員会)などがある。その業績、著作については「建築史学」18号(平成2年3月)、『浅野清著作目録作品集』(近畿大学理工学部建築学科建築史研究室・愛知工業大学建築学科建築意匠研究室編 昭和60年)、『協会通信 特集号 浅野先生を偲ぶ』(財団法人文化財建造物保存技術協会 平成3年10月)に詳しい。
出 典:『日本美術年鑑』平成4年版(300頁)登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)
例)「浅野清」『日本美術年鑑』平成4年版(300頁)
例)「浅野清 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10325.html(閲覧日 2024-12-03)
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- ■美術界年史(彙報)
- 1949年07月 法隆寺火災の責任者を起訴
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