橋本高昇
日展参与の木彫家橋本高昇は、11月29日午後5時56分、肺炎のため東京都杉並区の杉並病院で死去した。享年90。明治28(1895)年9月9日福島県二本松市に生まれ、本名留治。高等小学校卒業後上京し、大正11年木彫家三木宗策に入門する。14年第6回帝展に「春の日を受けて」が初入選、昭和2年第8回帝展後連年入選し、鹿や牛を好んで題材とした作品を多く発表する。同7年第13回帝展で「雄牛」が特選を受賞、11年文展招待展出品後、新文展に出品し、18年第6回「大道宣明」などを発表する。また16年正統木彫会展に「心音」を出品し、18年松戸市万満寺蔵「聖観音」を制作している。戦後28年第9回日展で「牡鹿」が特選・朝倉賞を受賞し、翌29年第10回日展でも「緑蔭」が特選となる。30年日展依嘱、31年・37年と審査員をつとめ、33年日展会員、39年評議員、45年参与となった。53年第10回改組日展「牡鹿」を最後に、日展には出品していない。
大正14年第6回帝展「春の日を受けて」、昭和2年同第8回「鹿」、3年同第9回「双鹿」、4年第10回「牡牛」、5年第11回「聖牛」、6年第12回「母性」、7年第13回「雄牛」(特選)、8年第14回「春光」、9年第15回「牡鹿」、11年文展招待展「親子の鹿」、13年第2回新文展「大和の利劍」、14年同第3回「三人の兄弟」、16年第4回「澄心」、18年第6回「大道宣明」、19年戦時特別展「闘魂」、21年第2回日展「鯉」、22年同第3回「観音」、23年第4回「神鹿」、24年第5回「関大僧正」、26年第7回「母牛」、27年第8回「春暁」、28年第9回「牡鹿」(特選・朝倉賞)、29年第10回「緑蔭」(特選・無鑑査)、30年第11回「牡鹿鳴く」(依嘱)、31年第12回「鹿」(審査員)、33年第1回新日展「野性」(会員となる)、34年第2回「丘」、35年第3回「コリー」、36年第4回「かもしか」、37年第5回「猛ける」(審査員)、38年第6回「求道者」、39年第7回「なく」(評議員となる)、40年第8回「仔鹿」、41年第9回「山羊」、42年第10回「白夜」、43年第11回「躍」、44年第1回改組日展「双鹿」、45年第2回「馬」(参与となる)、46年第3回「鷹」、47年第4回「親鸞」、48年第5回「善無畏三蔵」、49年第6回「鵜」、50年第7回「靭生」、52年第9回「仔連れの鹿」、53年第10回「牡鹿」
出 典:『日本美術年鑑』昭和61年版(261頁)登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)
例)「橋本高昇」『日本美術年鑑』昭和61年版(261頁)
例)「橋本高昇 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9930.html(閲覧日 2024-12-02)