岸浪百艸居

没年月日:1952/09/21
分野:, (日)

元日本南画院同人で独特の魚の絵を描くので知られていた岸浪百艸居は、9月21日東京築地の聖路加病院で癌のため逝去した。享年62歳。旧号連山、本名定司。明治22年明治の画家岸浪柳渓を父として群馬県に生れ、小学校卒業後寺院の徒弟、呉服店見習等をして転々と歩いたが、後画家を志し、小室翠雲の門に入つた。文、帝展、美術協会、南画院、如水遊心会等に作品を発表、その間禅に参じ、又支那、欧洲に遊学した。魚類を殊に好み、愛情こもつた作品を遺している。逝去する前年には巻物の大作「海魚図巻」を献上した。又随筆をよくし「魚に合ふ」「画魚談叢」等がある。終戦直後より眼疾、腎臓、癌等を患い、27年には洗礼を受けた。
略年譜
明治22年 上州館林に生る。父岸浪連司。
明治38年 小室翠雲の門に入る。
明治39年 美術協会「秋景山水」出品、3等褒状。
大正7年 第12回文展「山居無事」出品。
大正10年 美術協会にて宮内省御用拝命、聖徳太子奉讃展出品。
大正11年 第4回帝展「聴雨」出品。平和博覧会出品。支那遊学。
大正14年 第4回南画院展「樵路」出品。
大正15年 第5回南画院展「南信富士見所見」出品。院友に推薦される。
昭和2年 第6回南画院展「山道」出品
昭和3年 第9回帝展「立石寺」出品。
昭和4年 外遊。
昭和5年 第11回帝展「松籠」出品。商大寄贈。第9回南画院展「帰汐」出品。
昭和6年 第12回帝展「豆花小景図」出品。第10回南画院展「王瓜艸図」出品。百艸居の雅号を用ふ。
昭和7年 第11回南画院展「清人樹」出品。
昭和8年 第12回南画院展「沙汀静昼」出品。同人に推挙される。
昭和9年 第13回南画院展「秋庭」出品。「是れからの日本南画」出版、「百艸居画譜」発行。
昭和10年 第14回南画院展「枝頭已春」出品。
昭和12年 第1回個展開催。(日本橋・三越)
昭和14年 第2回個展開催。(日本橋・三越)
昭和17年 第3回個展開催。六曲一双友邦へ贈る。
昭和18年 第4回個展開催。「百艸居新作画集」発行。
昭和20年 第5回個展開催。上州へ疎開。第6回個展開催。(松屋別館)
昭和22年 随筆「魚に合ふ」出版。
昭和23年 随筆「画魚談叢」出版。
昭和25年 美術協会「浅汐」出品。眼病虹彩炎再発。急性腎臓にて聖路加病院に通院。
昭和26年 魚類図巻献上。頚動腫物手術。「磯の魚」画稿完成。
昭和27年 頚部再発、聖路加病院に入院。「磯の魚」出版。洗礼を受く。逝去。

出 典:『日本美術年鑑』昭和28年版(138-139頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「岸浪百艸居」『日本美術年鑑』昭和28年版(138-139頁)
例)「岸浪百艸居 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/8838.html(閲覧日 2024-04-26)

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