田辺光彰 (たなべみつあき)

没年月日:2015/03/30
分野:, (彫)

 彫刻家の田辺光彰は3月30日、肺炎のため死去した。享年76。
 1939(昭和14)年2月15日神奈川県に生まれる。61年多摩美術大学彫刻科卒業。翌年アメリカの彫刻家イサム・ノグチの知遇を得て強烈な影響を受け、以後数年間は石膏による作品模型を数多く制作する。68年から75年にかけて断続的に世界50カ国を巡り、広く異文化に接する。その間69年より横浜市北部近郊に「山内によする」と題する野外作品の制作に取り組み、76年に完成。78年ギャラリー・オカベで初個展開催。79年第1回ヘンリー・ムーア大賞展で「混在(あ)」がジャコモ・マンズー特別優秀賞受賞。80年第7回神戸須磨離宮公園現代彫刻展で「混在(内部・あ・外部)」が宇部市野外彫刻美術館賞受賞。81年には第2回ヘンリー・ムーア大賞展で「混在(内部・あ)」が優秀賞を受賞。81~83年に佐久市立近代美術館前庭に高さ40mの筒状の風導塔と、地下を通じて塔と連結する長さ20mの回廊、及びこの回廊を貫通する70mの遊歩道からなる「さく」を制作。86~87年にはソウルオリンピック関連事業として、韓国国立現代美術館より委嘱され「SEOUL・籾・熱伝導」を制作する。この頃より環境破壊への警鐘となるモティーフとして野生稲に注目、1992(平成4)年には農学者の佐藤洋一郎と野生稲自生地保全の運動をはじめ、稲籾をテーマとした制作やプロジェクトを国内外で行なう。99年に神奈川県民ホールで開かれた「田辺光彰展」では籾と共生するヘビやトカゲ、ムカデ等の動物のモティーフが登場。2006年にはオーストラリア、クイーンズランド州のマリーバ湿地帯にステンレス・スチール圧延板製の巨大なトカゲ像(長さ19m、重さ11t)である「KADIMAKARA(爬虫類・MOMI-2006)」を設置する。08年にはローマの国連食糧農業機関(FAO)本部、09年北極のスヴァールバル全地球種子庫にも作品を設置。彫刻が、単に展覧会の出品作として語られるのではなく、社会の精神的なモニュメントとしての存在であることを、制作を通して実証し続けた。11年に『田辺光彰』(野村太郎編著、八坂書房)が刊行。2014年に横浜市に開設した日吉の森庭園美術館に田辺光彰美術館がある。

出 典:『日本美術年鑑』平成28年版(534-535頁)
登録日:2018年10月11日
更新日:2019年01月23日 (更新履歴)
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