小川隆之

没年月日:2008/10/08
分野:, (写)
読み:おがわたかゆき

 写真家の小川隆之は10月8日、肺気腫のため川崎市内の病院で死去した。享年72。1936(昭和11)年10月3日東京に生まれる。59年日本大学芸術学部写真学科卒業、文藝春秋社に入社、写真部に配属される。65年に同社を退社しフリーランスとなる。67年4月より68年3月までニューヨークに滞在して制作活動にとりくみ、帰国後『カメラ毎日』1968年9月号に滞米中の作品「New York Is」を巻頭32ページの特集により発表、同年にニコンサロン(東京、銀座)において同題の個展を開催。ベトナム戦争期のニューヨークの多様な現実をとらえた同シリーズにより68年、第12回日本写真批評家協会賞新人賞を受賞する。以後、東京を拠点に報道、広告など広い分野で活躍し、コマーシャル・フィルムのカメラマンとしても多くの仕事を手がけた。代表的な仕事にオーソン・ウェルズをモデルに起用したニッカウヰスキーの広告シリーズがあり、写真およびテレビ・コマーシャル映像の撮影を担当した。82年にADC賞を受賞。また自らの作品制作にも継続的にとりくみ、主な個展に「オーソン・ウェルズ」(シードホール、東京、1987年)、「魂のメサ」(フォト・ギャラリー・インターナショナル、東京、1999年)、「沈黙の肖像」(ギャラリーSOL、東京、2000年)などがある。90年代後半には、癌を患った経験から生まれた「Beyond the Mirror」と題する、レントゲン写真や自らの身体を題材とするフォトグラムによるセルフポートレートのシリーズを発表、新境地を開く。同シリーズは同題の個展(ヒューストン写真センター、アメリカ、1998年)で発表された他、東京都写真美術館で開催された「ラヴズ・ボディ ヌード写真の近現代」(1998年)にも出品された。

出 典:『日本美術年鑑』平成21年版(438-439頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「小川隆之」『日本美術年鑑』平成21年版(438-439頁)
例)「小川隆之 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/28434.html(閲覧日 2024-10-10)

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