竹内奈美子

没年月日:2019/08/30
分野:, (学)
読み:たけうちなみこ

 東京国立博物館上席研究員で、日本漆工史を中心に多大な功績を残した竹内奈美子は8月30日に死去した。享年52。
 昭和42(1967)年5月5日、神奈川県藤沢市に生まれる。1990(平成2)年3月、早稲田大学第一文学部史学科美術史学専修卒業。93年3月、早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)博士前期課程修了。94年3月、早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)博士後期課程中退。94年4月より東京国立博物館に勤務し、学芸部工芸課漆工室、学芸部企画課展示調整室、学芸部企画課列品室、学芸部工芸課漆工室の研究員、文化財部展示課平常展室、文化財部列品課列品室、事業部事業企画課特別展室、学芸企画部企画課特別展室の主任研究員、学芸研究部調査研究課工芸・考古室、学芸研究部調査研究課工芸室、学芸研究部列品管理課登録室(兼)学芸研究部列品管理課貸与特別観覧室の室長、上席研究員を歴任し、その間、調査・研究・展示・収集をはじめとする博物館の学芸業務に尽力した。また、東京文化財研究所の在外日本古美術品保存修復協力事業に係る調査等、他機関の調査・研究にも協力した。
 研究活動は、日本漆工史を中心に論文執筆や研究発表を行った。論文には、「高台寺御霊屋内陣における花筏・楽器散らし文様-その意味するものについて」(『美術史研究』31、1993年)、「東京国立博物館新収品「花樹鳥獣蒔絵螺鈿櫃」-鮫皮貼輸出漆器の一例として」(『MUSEUM』538、東京国立博物館、1996年)、「竹厨子」(『日本の国宝』43、朝日新聞社、1997年)、「輸出漆器-欧州エキゾティシズムの遺産」(『漆芸品の鑑賞基礎知識』至文堂、1997)、「東京国立博物館保管「楼閣山水蒔絵椅子」(H-4528)-17世紀後半の輸出漆器作例として」(『MUSEUM』563、東京国立博物館、1999年)、「印籠と根付の魅力」『目の眼』294、里文出版、2001年)、「南蛮漆器-二つの相とその時代-」(『南蛮美術と室町・桃山文化』熱田神宮宮庁、2002年)、「総論 江戸蒔絵:光悦・光琳・羊遊斎」(『創立130周年記念特別展 江戸蒔絵-光悦・光琳・羊遊斎-』図録、東京国立博物館、2002年)、「江戸時代前期五十嵐派作品について-前田家関連遺品を中心に」(『東京国立博物館紀要』40、2004年)、特集陳列『五十嵐派の蒔絵』解説(2004年12月)、「高台寺蒔絵の絵梨子地」(『近世漆工芸基礎資料の研究-高台寺蒔絵を中心に-』平成16~17年度科学研究費補助金(基盤研究B)研究成果報告書、2006年)、「五十嵐作「蓮池蒔絵舎利厨子」の制作年」(『MUSEUM』615、東京国立博物館、2008年)、「三つの秋野蒔絵硯箱」(『日本美術史の杜 村重寧先生・星山晋也先生古稀記念論文集』2008年)、「描くことと作ること 琳派と漆芸」(特別展「大琳派展」展覧会図録、東京国立博物館、2008年)、「未詳の蒔絵師「不尽」について」(『美術フォーラム21』19、美術フォーラム21刊行会、2009年)、「蒔絵香合の計測的調査・研究―手箱内容品を基準として―」茶道文化学術助成研究報告書、財団法人三徳庵、2009年)、「神仏への供酒・供物器」ほか扉解説(『根来』根来展実行委員会、2010年)、「葦穂蒔絵鞍鐙」(『國華』1378、國華社、2010年)、「«表紙解説»菊螺鈿鞍」(『MUSEUM』634、東京国立博物館、2011年)、Musical Instruments and the Lacquer Arts Tradition,Elegant Perfection―Masterpieces of Courtly and Religious Art from the Tokyo National Museum,(Tokyo National Museum,The Museum of Fine Arts,Houston,Distributed by Yale University Press,New Haven and London,2012)、「朱漆輪花盤」(『國華』1421、國華社、2014年)、「色彩と彫技の豊穣-明代漆芸の魅力」(特別展「台北 國立故宮博物院―神品至宝―」図録、東京国立博物館ほか、2014年)、「明月椀」ほか扉解説(『鎌倉の名宝 明月椀-漆絵、美の饗宴-』小西大閑堂、2016年)、「牡丹漆絵三重椀」(『國華』1446、國華社、2016年)、「甦る王朝の技と美」(特別展「春日大社 千年の至宝」図録、NHK:NHKプロモーション:読売新聞社、2017年)、「漆器の領分-婚礼調度の世界」(『URUSHIふしぎ物語-人と漆の12000年史-』国立歴史民俗博物館、2017年)等がある。
 研究発表には、「五十嵐様式の蒔絵について―前田家関連の作品を中心に―」(早稲田大学美術史学会日本美術分科会、2005年10月発表)、「東北地方伝来の蒔絵絵馬について」(歴博・展示型共同研究「学際的研究による漆文化史の新構築」平成26年度第6回研究会、2014年12月25日発表)、「五十嵐道甫様式の蒔絵について―細部表現と地蒔を中心に」(歴博・展示型共同研究「学際的研究による漆文化史の新構築」平成26年度第7回研究会、2015年2月26日発表)、「漆器の領分-婚礼調度の世界」(第105回歴博フォーラム「URUSHIふしぎ物語-人と漆の12000年史-」国立歴史民俗博物館、2017年8月5日発表)等がある。
 それらの研究成果は、東京国立博物館での平常展および創立130周年記念特別展『江戸蒔絵―光悦・光琳・羊遊斎―』(2002年8月20日~10月6日)、特集陳列『五十嵐派の蒔絵』(2004年12月14日~2005年2月13日)、特集陳列『欧州を魅了した漆器と磁器』(2005年12月23日~2006年2月19日)等の展示を通じて広く公開された。

出 典:『日本美術年鑑』令和2年版(498-499頁)
登録日:2023年09月13日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「竹内奈美子」『日本美術年鑑』令和2年版(498-499頁)
例)「竹内奈美子 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/2041076.html(閲覧日 2024-04-25)

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