寺田竹雄

没年月日:1993/09/10
分野:, (洋)

日本芸術院会員、二科会理事の洋画家寺田竹雄は9月10日午後5時21分、心不全のため東京都港区の虎の門病院で死去した。享年85。明治41(1908)年4月27日、福岡県糸島郡に生まれる。大正11(1922)年福岡県立中学修猷館を中退して渡米、昭和3(1928)年カリフォルニア州チーコ・ハイスクールを卒業、同6年カリフォルニア州美術専門学校を卒業、同年アートセンター美術協会会員、同7年サンフランシスコ・アート・アソシエーション会員、同8年ロスアンゼルス・アート・アソシエーション会員となる。同年より米国政府の壁画政策によってサンフランシスコ・コイト記念塔内に壁画を描き同9年カリフォルニア州壁画家協会の設立に会員として参加。同10年米国政府の依頼でカリフォルニア州サンタクララ郵便局内に壁画を制作。同年サンフランシスコ日本人美術家協会主事となった。同年10月帰国。同11年東京西銀座のコットンクラブに壁画を描き、以後も多くの壁画を制作した。同11年第23回二科展に「アメリカ風景」で初入選。以後同展に出品し、同13年第25回展に「見世物」「建設(フレスコ)」「壁画試作(フレスコ)」を出品して特待。同15年同会会友、同20年会員となった。同23年第32回二科展で会員努力賞、同28年第38回展には「よろこび(フレスコ試作)」等で同賞を受賞。同44年第54回二科展に「熱い国の女達」「果物ワゴン」を出品して青児賞。同51年第61回同展には「アラビアの女」を出品して内閣総理大臣賞を受賞して、同53年二科会常務理事となった。同59年、第68回二科展出品作「朝の港」で日本芸術院賞を受賞し、平成2年に日本芸術院会員に任命された。この間、同31年より32年まで、アメリカ、メキシコ、欧州、中近東を訪れ、同40年にも渡欧している。女性像、風景を得意とし、力強い構図の明快な画風を示した。国立競技場、アサヒ・ペンタックスビル、佐久市市庁舎、第百生命本社、松竹本社等に壁画を描いたほか、新聞挿絵に筆を染めた。日本美術家連盟理事、国際美術連盟国内委員長等をもつとめ、美術家の国際交流にも尽力した。

二科展出品歴
第23回(昭和11年)「アメリカ風景」、24回「時間と空間の制限」「レール」、25回「見世物」「建設(フレスコ)」「壁画試作(フレスコ)」、26回「フェリーボート」、27回「地下道」「買出し」、28回「田園風景」「子供と山羊」、29回「憩時間」、31回(同21年)「街の女」「車内」「子供」、32回「街の女」「都会」「少女」、34回「裸婦」、35回「街」、36回「子供」「街」、37回「ユネスコ村」「サーカスの女」、38回「よろこび(フレスコ試作)」「貝殻のある静物(フレスコ試作)」「裸婦(フレスコ試作)」「ショウインドウをのぞく子供(フレスコ試作)」、「煙突の見える風景(フレスコ試作)」「再会(フレスコ試作)」「機械化された鳥(フレスコ試作)」「母子(フレスコ試作)」「防波堤(フレスコ試作)」「丘の上(フレスコ試作)」「顔(フレスコ試作)」、39回「ピアノの前の女」「三人の女」、40回(同30年)「街に生きる人々」、41回不出品、42回不出品、43回「メキシコ」「インドの家」「大地」、44回「沙漠地帯F」「沙漠地帯G」、45回「壁」「空から見た風景」「風景」、46回「マヤ(メキシコ)」「ハロ(メキシコの家)」、47回、48回「月光」「南の国」、49回「エトランジェー」、50回(40年)「アトリエの裸婦」「古いポスターのある壁」、51回「或る異国の港町」、52回「メキシコの女」、53回「古壁と入口」「がらくた屋の店番」、54回「熱い国の女達」「果物ワゴン」、55回(同45年)「夏の電車B」「夏の電車A」、56回「ポスターののある壁」「三人の女」、57回「楽屋」、58回「古都への想」、59回「果物屋は朝早く出かける」「シルクロードを行く」、60回(同50年)「重い荷物」「破戒」、61回「アラビヤの女」、62回「私の鳥たち」「鳩笛」、63回「洗濯する女(インド)」、64回「アフガニスタンの古い街」、65回(同55年)「フルーツワゴン」、66回「洗濯する女達(メキシコ)」、67回「川辺の母達」、68回「朝の港」、69回「港に近い小公園」、70回(同60年)「メキシコの果物ワゴン」、71回「泉」、72回「或る異国の港町の夜」、73回「Odalisque」、74回「アンティークショップの留守番娘」、75回(平成2年)「サーカスの人達」、76回「曲馬団の女王」、77回「ローラースケート」、78回「サーカス一家(未完成)」

出 典:『日本美術年鑑』平成6年版(333-334頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「寺田竹雄」『日本美術年鑑』平成6年版(333-334頁)
例)「寺田竹雄 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10461.html(閲覧日 2024-03-28)

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