鈴木信吾

没年月日:1993/07/04
分野:, (版)

日本版画協会会員の版画家鈴木信吾は、7月4日午後5時31分、脳しゅようのため東京都品川区の病院で死去した。享年49。昭和19(1944)年5月19日、中国の満州に生まれる。同41年立教大学を卒業後、2年間彫金を学ぶ。同43年、シロタ画廊で、油絵の個展を開催する。同45年、日本美術家連盟の版画工房に入り銅版画の技法を学び、同46年、シロタ画廊で版画の個展を開く。同47年第40回日本版画協会展で同協会賞受賞。同年第3回版画グランプリ展、第6回現代美術展に出品。翌48年より54年まで滞欧し、はじめは油絵を描いたが、後半はアトリエ内で版画を研究する。この間の同49年第1回フランス・ツール市国際展、フランス・リヨン現代日本画展に出品。同51年ベルギー・オスタンド市ヨーロッパ絵画賞展に出品して銅メダル賞を受賞。翌年フランス・ヴィトリ・スウ・セイヌ市絵画展にも出品。帰国後は、東京版画研究所に学んだ。同52、56年および平成元年にはアメリカで開催された国際ミニアチュール展、昭和57年には韓国で行なわれた第2回韓国国際ミニアチュール展、同60年アメリカでの国際メゾチント・コンペティション、同62年イタリア・ビエラ国際版画展、同64年イギリス・ブリストル国際ミニチュール版画展に出品するなど、国際的に活躍した。国内でも平成2年第3回ミヤコ版画賞展ミヤコ賞受賞。昭和50、56、61年および平成2年にガレリア・グラフィカで個展を行なったほか、版画日動展、静岡県立美術館で開催された「フュージョン展」等、多くの展覧会に出品した。銅版画を得意とし、「サンマルタン運河シリーズ」を描いたマニエル・ノワールのほか、銅版にビュランで点を置いていく点描法、ステイプル・エングレーヴィングで高い評価を得た。代表作に「五月の小箱」、「小さな秋」「deja vu」等がある。没後の平成6年名古屋のギャラリー審美で個展が開かれた。

出 典:『日本美術年鑑』平成6年版(328頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「鈴木信吾」『日本美術年鑑』平成6年版(328頁)
例)「鈴木信吾 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10361.html(閲覧日 2024-04-19)

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