久野修男

没年月日:1983/09/26
分野:, (洋)

二紀会評議員の洋画家久野修男は9月26日午前0時40分、すい臓ガンのため、福岡県石川郡のアトリエで死去した。享年66。大正6(1917)年2月13日、福島県石川郡に生まれる。太平洋美術学校で油画を学び、昭和15年第27回二科展に「雪国のいで湯」で初入選。同19年に戦前の同会が解散するまで出品を続ける一方、同17年大東亜戦争美術展、43年陸軍美術展にも出品。同22年二紀会が創立されるとこれに参加し、翌年第2回展に「炭焼」を出品して褒賞を受ける。白地に薄い黄緑色を施した下地をつくり、細く黒い輪郭線でひなびた門や塀などを描きつづけ、同25年二紀会同人となり、同31年第10回展には「校倉」「瓦窯」を出品して同人優賞を受けた。翌年同会委員となり、審査員をつとめる。同51年の外遊後、ほとんど緑系一色だった画面に朱色などの暖色が入り、色彩が豊麗となっている。同55年第34回展では「南仏風景」で鍋井賞を受賞した。郷里にアトリエを構え、清澄な独自の画風を築くとともに、同地の美術振興にも努め、同52年二紀会福島支部を創立してその支部長として活躍した。

出 典:『日本美術年鑑』昭和59年版(317頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「久野修男」『日本美術年鑑』昭和59年版(317頁)
例)「久野修男 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10116.html(閲覧日 2024-04-20)
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