今泉省彦

没年月日:2010/07/13
分野:, (美)

 画家、評論家だった今泉省彦は、7月13日死去した。享年78。1931(昭和6)年11月30日、埼玉県所沢に生まれる。父は陸軍少尉で、今泉は幼少期を満州(現、中国東北部)で過ごす体験もした。18歳のころ、友人から白樺派やセザンヌを知り、美術に傾倒していき、春陽会に出品するも落選。50年日本大学芸術学部美術科に入学、ほとんど通わず美術館などで過ごし、左翼美術運動に関わる。61年には全電通労働組合分会執行委員を務める。68年、現代思潮社の川仁宏より絵の学校の企画を持ち込まれ、翌年「美学校」(千代田区神田神保町2―20 第2富士ビル3階)の開校に参加、日本電信電話公社を辞職し、現代思潮社美学校事務局長となる。これが美術界で今泉の名を知らしめるものとなる。教育者というと今泉は反論しただろうが、反美術大学的な「芸術作品と作家のありざまを本来的に捉えかえす機関」「表現を練磨し表現未生の闇へ果敢に肉迫する真の工房」として、特異な画塾とでもいうべき美学校、酒が絶えないその空間において彼は中心的な役割を担い、カリキュラムを編成した。75年に現代思潮社から分離、学校の経営は多難だったが、2000(平成12)年まで校長を務めた。画家として個展こそは少ないが、カットや装幀もよくし、その軽妙な画風から赤瀬川原平は今泉を「永遠のデッサン家」といった。評論活動は1953年から同人誌に執筆、『作品・批評』、『形象』などに、岸田劉生、関根正二、長谷川利行、ケーテ・コルビッツらを取り上げ、また60年代以降の美術情況、前衛美術界やハイレッドセンターなどを『日本読書新聞』、『美術手帖』などで論じた。復刊『機關』11号で「今泉省彦特集」が組まれている。『彷書月刊』98年3月号は「特集・美学校の30年」。

著書

『ビッグ・パレード』(赤組、1983年)

出 典:『日本美術年鑑』平成23年版(439-440頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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