持田季未子

没年月日:2018/12/18
分野:, (学)
読み:もちだきみこ

 大妻女子大学名誉教授の美術史家持田季未子は12月18日、がんによる多臓器不全のため死去した。享年71。
 1947(昭和22)年東京都港区高輪に生まれる。本名公子。70年国際基督教大学教養学部人文科学科を卒業。同学では関屋光彦に師事し、プラトンやアリストテレスなどの西洋古典を読むことによって、「自分の頭と心で物事を考える方法をつかみとることが重要」(『美的判断力考』)であることを学ぶ。80年東京大学人文科学研究科比較文学比較文化修了(文学修士)単位取得満期退学。立原道造研究から絵画、建築、庭園に興味を持ち、作品とは本来、それぞれ「本質的な固有の意味の層を持つ」(『絵画の思考』)という立場から、既存の方法論に依拠せず、作品のみを拠り所として、言葉を紡ぐことを目指すようになる。80年東京造形大学助教授となり、同学教授で『ことばのない思考―事物・空間・映像についての覚書』(田畑書店、1972年)、『生きられた家』(田畑書店、1976年)等、目に見えるものから過去の人の営みを明らかにする書物を世に問うていた多木浩二の知遇を得る。83年、アンリ・マスペロ著『道教の養生術』(せりか書房)、『芸術の記号論』(谷川渥 加藤茂らと共著、勁草書房)を刊行。84年1月に「連なりの史学」(『東京造形大学雑誌』)、85年9月に「庭園の眼差し、あるいは生成する庭園」(『思想』)を発表し、87年には『生成の詩学 かたちと動くもの』(新曜社)、ルーシー・スミス著『1930年代の美術 不安の時代』(多木浩二との共訳、岩波書店)、1991(平成3)年には『立原道造と伝統詩』(新典社)を刊行。92年にモンドリアン、マイケル・ハイザー、ロバート・スミッソンらによるアースワーク、村上華岳の作品について論じた『絵画の思考』(岩波書店)を刊行し、同書により吉田秀和賞受賞。93年東京造形大学教授となる。その後、『草木の精の能にみる日本的自然観』(共著、中央公論社、1994年)、『ベルリン―芸術と社会』(エバーハルト・ロータース編集、多木浩二らと共訳、岩波書店、1995年)、『芸術と宗教』(岩波書店、1997年)、『希望の倫理学 日本文化と暴力をめぐって』(平凡社選書、1998年)を刊行。98年に大妻大学比較文学部比較文化学科教授となり2016年まで教授として勤務し、18年に同学名誉教授となった。この間、『十七世紀の光―オランダ建築画の巨匠サーレンダム』(岩波書店、2009年)、自身の祖父について記した『明治の精神 持田巽の生涯』(彩流社、2012年)、『セザンヌの地質学 サント・ヴィクトワール山への道』(青土社、2017年)を刊行し、77年から様々な雑誌や書籍に発表した文章をまとめた『美的判断力考』(未知谷、2019年)を構想中に死去した。「第一章 絵画の世界」「第二章 建築・庭園」「第三相 詩から始まる」「第四章 哲学すること」「第五章 英語・フランス語論文」で構成された同書は、持田の仕事の展開を示すものとなっている。

出 典:『日本美術年鑑』令和元年版(531-532頁)
登録日:2022年08月16日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「持田季未子」『日本美術年鑑』令和元年版(531-532頁)
例)「持田季未子 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/995881.html(閲覧日 2024-05-30)

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