藤枝晃雄

没年月日:2018/04/26
分野:, (評)
読み:ふじえだてるお

 批評家、美術史家で武蔵野美術大学名誉教授の藤枝晃雄は4月26日、誤嚥性肺炎のため死去した。享年81。
 1936(昭和11)年9月20日福井県武生市(現、越前市)本町生まれ。生家は浄土真宗本願寺派の陽願寺。本名照容(てるかた)。
 61年東京藝術大学美術学部芸術学科卒業(在学中は新聞部、卒論は「マルセル・デュシャン」)。67年京都大学大学院美学美術史学専攻修士課程修了(在学中の63年から65年、ペンシルヴェニア大学大学院に留学、修論は「現代アメリカ美術研究」)。69年武蔵野美術大学講師として就任、80年に教授(2006年退任)。75年ニューヨーク近代美術館客員研究員。2002(平成14)年「ジャクソン・ポロック」で文学博士(大阪大学)。
 藝大在学中に次代美術会設立に参加し同人誌『次代美術』を創刊、2号(1959年)に「残存の美術評論」を寄稿。60年代半ばから美術雑誌をはじめ、詩誌『VOU』(藝大在学中から参加)、建築雑誌、富士ゼロックスのPR誌『グラフィケーション』等幅広く執筆をはじめる。
 著書に、アメリカ抽象表現主義を中心に近現代美術の状況と自らの批評の立脚点を示す『現代の美術9 構成する抽象』(講談社、1971年)。60年代末から70年代半ばまでの評論をまとめた『現代美術の展開』(美術出版社、1977年)。『世界の素描33・マティス』(講談社、1978年)。ライフワークともいえる『ジャクソン・ポロック』(美術出版社、1979年。改訂版、スカイドア、1994年。新版、東進堂、2007年)。マネからモンドリアンまで15名の近代画家を論じた『絵画論の現在』(スカイドア、1993年)。『現代美術の不満』(東信堂、1996年)。『現代芸術の彼岸』(武蔵野美術大学出版局、2005年)。初期からの晩年までの評論のアンソロジーとして『モダニズム以後の芸術』(対談や編者のコラムを含む。東京書籍、2017年)等がある。共著・編著・共編著に『空間の論理 日本の現代美術』(ブロンズ社、1969年)、『芸術的世界の論理』(創文社、1972年)、『ジャズ』(青土社、1978年)、『講座・20世紀の芸術』(岩波書店、1989―90年。3巻芸術の革命、7巻現代美術の状況、8巻現代芸術の焦点、9巻芸術の理論)、『アメリカの芸術』(弘文堂、1992年)、『芸術理論の現在 モダニズムから』(東信堂、1999年)、『西洋美術史への視座』(勁草書房、1988年)、『芸術学フォーラム・西洋の美術』(勁草書房、1992年)、『絵画の制作学』(日本文教出版、2007年)等。編訳書として『グリーンバーグ批評選集』(クレメント・グリンバーグ著、勁草書房、2005年)等。監修に『日本近現代美術史事典』(多木浩二と共監修、東京書籍、2007年)等がある。
 企画展に、「絵画の問題展 Art today’80」(西武美術館、1980年)、「今日の作家<感情と構成>展」(横浜市民ギャラリー、1980年)、「見ること/作ることの持続 後期モダニズムの美術」展(武蔵野美術大学、2006年)など。現代思想へのコンタクトを常とし、クレメント・グリーンバーグの批評を基軸にフォーマリズムの視点から、作品の質を問うべく徹底的に視る批評を展開、時に舌鋒激しい物言いは他に類がなかった。アメリカや日本の現代美術について鋭い批評を残した。

出 典:『日本美術年鑑』令和元年版(508頁)
登録日:2022年08月16日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「藤枝晃雄」『日本美術年鑑』令和元年版(508頁)
例)「藤枝晃雄 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/995701.html(閲覧日 2024-03-01)

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