各務鑛三

没年月日:1985/12/03
分野:, (工,硝子)

硝子工芸家で日展参与の各務鑛三は、12月3日肺炎のため神奈川県藤沢市の藤沢脳神経外科病院で死去した。享年89。ガラス工芸を工芸美術の一分野へ高めるのに先駆的役割を果した各務は、明治29(1896)年3月3日岐阜県土岐郡に生まれた。愛知県立陶器学校から東京高等工業学校図案科選科に進み大正5年に卒業、その後5年間同校窯業科に勤務した。同9年満鉄窯業試験所に入社し窯業研究に従事、昭和2年には満鉄からドイツ留学を命じられ国立シュツットガルト美術工芸学校へ入り、校長のアイフ教授に師事してグラビール、カットなどガラス彫刻を1年半の間学んだ。同4年に帰国。翌5年工房を新設し独立、同7年13回帝展に初入選し、同9年には東京市蒲田区西六郷1-7に各務クリスタル製作所を設立、同年の15回帝展では特選を受けた。東京府工芸品展、商工省主催輸出工芸展等の審査員をつとめた他、同13年、16年の新文展でも審査員となった。岩田藤七の色ガラス、各務のクリスタルガラスで、岩田と共に硝子工芸の先駆的役割を果し、硝子工芸を工芸美術の今野にまで高めた。戦後は日展に出品、審査員をつとめ日展評議員、日展参与を歴任した。同28年芸術選奨文部大臣賞を受賞、同33年のブリュッセル万国博覧会ではグランプリを受けた。同35年日本芸術院賞を受賞する。

出 典:『日本美術年鑑』昭和61年版(262頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「各務鑛三」『日本美術年鑑』昭和61年版(262頁)
例)「各務鑛三 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9795.html(閲覧日 2024-04-20)

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