森口華弘

没年月日:2008/02/20
分野:, (工)
読み:もりぐちかこう、 Moriguchi, Kako*

 友禅の重要無形文化財保持者(人間国宝)である森口華弘(本名平七郎)は2月20日午後4時50分、老衰のため京都市左京区の病院で死去した。享年98。1909(明治42)年12月10日、滋賀県野洲郡守山町に父周次郎、母とめの三男として生まれる。本名は平七郎。1921(大正10)年3月、守山尋常小学校(現、守山市立吉身小学校)を卒業。24年、母の従兄坂田徳三郎の紹介で友禅師・三代中川華邨に師事し、その一方、華邨の紹介で疋田芳沼に就いて日本画を学ぶ。1934(昭和9)年、師の華邨の作風をひろめるという意味を込めて坂田徳三郎により名付けられた雅号「華弘」を用いる。2年後、1月8日に林智恵と結婚、中川家を出て一家を構え、39年1月には独立して工房をもつ。これに前後して華弘の代表的な技法である「蒔糊(まきのり)」の着想が生まれる。「蒔糊」の技術は、東京国立博物館で目にした江戸時代の撒糊技法が施された小袖と漆蒔絵の梨子地から、江戸時代より伝わる撒糊技法と漆芸の蒔絵技法と組み合わせることを着想したという。41年には丸川工芸染色株式会社に取締役・技術部長として勤務。しかし、戦争下、贅沢品禁止令、企業整備令の施行や社員の軍事工場への徴用の中、友禅の仕事は続けられなくなる。戦後、友禅の仕事を徐々に再開し、49年には市田株式会社主催の柳選会に参画、52年には京都工人社に加わり伝統工芸の保護・育成にも携わる。55年、第2回日本伝統工芸展に蒔糊を施した友禅着物「おしどり」「早春」「松」を出品し、全作入選。そのうち「早春」は朝日新聞社賞を受賞。56年、第3回日本伝統工芸展で友禅着物「薫」が文化財保護委員会委員長賞を受賞し、日本工芸会正会員となる。翌年から同展鑑査員に就任。58年には第1回個展を東京日本橋三越にて開催(以後毎年開催)。翌年、全国絹製品競技大会で通産大臣賞を受賞。60年、京都新聞文化賞を受賞。この頃から社団法人日本工芸会理事として活躍。62年には常任理事となる。翌年、「現代日本伝統工芸展」(オランダ・西ドイツ)に出品。67年、57歳の若さで国の重要無形文化財保持者に認定される。同年、「近代日本の絵画と工芸」展(京都国立近代美術館)に出品。70年には社団法人日本工芸会副理事長就任。翌年、紫綬褒章を受章、その後73年には第20回日本伝統工芸展に友禅着物(梅華文様)を出品、20周年記念特別賞を受賞。同年、「現代日本の伝統工芸展」(中国展観記念)に出品。翌年、京都市文化功労賞受賞後、「京都近代工芸秀作展」「現代日本の伝統工芸展」(ポルトガル・オーストリア・イタリア・スペイン)等に出品。76年『友禅―森口華弘撰集』(求龍堂)を刊行、「森口華弘五十年」(東京・京都 日本経済新聞社主催)を開催。80年、勲四等旭日小綬章を受章。同年、「染と織―現代の動向」展、翌年、「現代工芸の精華―京都作家秀作」展に出品。82年には「友禅・人間国宝 森口華弘展」(石川県立美術館)が開催。「人間国宝展米国展」(ボストン・シカゴ・ロサンゼルス)にも出品。翌年からも多くの作品を展覧会に出品し、「伝統工芸30年の歩み」展(東京国立近代美術館)、「現代日本の工芸―その歩みと展開」展(福井県立美術館)、「京都国立近代美術館所蔵 近代京都の日本画と工芸」展(群馬県立近代美術館)等に出品。特に85年「現代染織の美―森口華弘宗廣力三・志村ふくみ展」(東京国立近代美術館 日本経済新聞社主催)、翌86年「人間国宝・友禅の技 森口華弘展」(滋賀県立近代美術館)と森口の歴史を振り返るような内容の展覧会も開催される。87年、京都府文化特別功労賞を受賞。その後も、「近代の潮流・京都の日本画と工芸」展(京都市美術館)、「人間国宝・友禅 森口華弘」展(守山市民ホール)、「染織の美―いろとかたち―」展(新潟市美術館)等に出品。1994(平成6)年には「伝統と創生 友禅の美 森口華弘・邦彦展」(大阪・京都大丸、読売新聞社主催)において父子の作品を一堂に展観する。翌年、滋賀県守山市の名誉市民第一号の称号を受ける。98年にはポーラ文化賞を受賞。翌年からも「京友禅―きのう・きょう・あした」展(目黒区美術館)、「開館30周年記念展Ⅰ工芸館30年のあゆみ」(東京国立近代美術館工芸館)等に出品。2007年、息子森口邦彦が友禅の重要無形文化財保持者に認定され、父子ともに友禅の重要無形保持者となる。没後の09年4月、「森口華弘・邦彦展―父子、友禅人間国宝」が滋賀県立近代美術館、東京日本橋三越にて開催される。

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出 典:『日本美術年鑑』平成21年版(425-426頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2019年06月06日 (更新履歴)
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