小池一夫

没年月日:2019/04/17
分野:, (その他)
読み:こいけかずお

 漫画原作者で大阪芸術大学教授だった小池一夫は4月17日、肺炎のため都内の病院で死去した。享年82。
 1936年(昭和11)5月8日秋田県大曲(現、大仙市)に生まれる。本名俵谷星舟。別筆名に小池一雄、緒塚敬吾等がある。幼少の頃から立川文庫、時代小説等を乱読した。59年中央大学大学院法学研究科修士課程修了。在学中に小説家山手樹一郎に師事する。卒業後農水省に入省するも10カ月ほどで辞め、新宿の雀荘のマネージャーになる。さいとう・プロダクションの脚本家募集に応募し入社、68年「無用ノ介」(『週刊少年マガジン』連載)に名前がクレジットされる。68年創刊の『ビッグコミック』連載「ゴルゴ13」の脚本を担当、70年独立。同年9月から「子連れ狼」(作画・小島剛夕、『漫画アクション』連載)の原作を執筆。73年3月当時、週刊誌13本、隔週誌4本、月刊誌5本という人気原作者だった。代表作の多くが70年代にあり、神田たけ志「御用牙」(1970年から『ヤングコミック』連載)、芳谷圭児「高校生無頼控」(1971年から『漫画アクション』連載)、池上遼一「I・飢男(アイウエオボーイ)」(1973年から『週刊現代』他で連載)、上村一夫「修羅雪姫」(1972年から『週刊プレイボーイ』)等、多くの作品に見られるモティーフは復讐譚であり、原作には作画へのポイント(構図やコマの大きさ)の指示があった。70年代に漫画誌に成人が主人公でエロチックな描写がある劇画を定着させた功績は大きい。特に小島剛夕とは15本の時代劇がある。同時にメディアミックスの時代でもあり、テレビや映画の主題歌、脚本も手がけるようになる。美術関連では、叶精作「オークション・ハウス」(1990年から『ビジネスジャンプ』連載)があり、贋作者で鑑定家でもある男が、フェルメールの絵を巡って殺害された両親の復讐を果たすストーリーで後期の代表作とされる。77年には「小池一夫劇画村塾」を設立、2000(平成12)年から09年までは大阪芸術大学でも後進の指導に当たった。評伝に大西祥平『小池一夫伝説』(洋泉社、2011年)がある。

出 典:『日本美術年鑑』令和2年版(487頁)
登録日:2023年09月13日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「小池一夫」『日本美術年鑑』令和2年版(487頁)
例)「小池一夫 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/2040986.html(閲覧日 2024-04-28)

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