小野光敬

没年月日:1994/06/29
分野:, (工)

国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)の刀剣研磨師小野光敬は6月29日午前1時18分、肝不全のため神奈川県藤沢市の病院で死去した。享年80。大正2(1913)年7月30日、岩手県盛岡市に生まれる。本名清之助(せいのすけ)。刀剣研磨の道に志し、昭和4(1929)年、研師加藤勇之助に入門。同13年には上京して本阿弥光遜(こうそん)に師事し、万剣制作に関する基礎的知識を得ると共に、相州伝を中心に各伝の鍛法をいかす正統な技法を学んだ上、本阿弥流の「家研ぎ」の技法を修得、同18年独立し、以後、専ら優品の研磨に従事した。戦後、同22年4月より、同42年まで東京国立博物館学芸部工芸課刀剣室に勤務。この問、同27年に正倉院蔵万三振の研磨、同年四天王寺蔵国宝「丙子椒林剣」「七星剣」の研磨、同32年より42年まで第一次正倉院蔵刀剣類研磨にたずさわる。同42年には国宝「沃懸地獅子文毛抜形太刀」の研磨を行い、翌43年より52年まで第二次正倉院蔵刀剣類研磨にたずさわった。この間同45年日本万研磨技術保存会副幹事長となり、同50年に重要無形文化財「刀剣研磨」の保持者に認定された。同57年日本刀研磨技術保存会幹事長に就任。上古刀をはじめ社寺仏閣所蔵の刀剣研磨を中心に活躍し、地鉄の研究をもとに自然の地肌や刀剣を研ぎ起す「差し込み研ぎ」技法を復活させることに貢献した。また、各種講習会により伝統的な技術を後進に伝綬することにもつとめ、万剣研磨技術の伝承、発展に尽力した。

出 典:『日本美術年鑑』平成7年版(350頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「小野光敬」『日本美術年鑑』平成7年版(350頁)
例)「小野光敬 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10513.html(閲覧日 2024-03-29)

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