横溝洋

没年月日:1990/05/07
分野:, (洋)
読み:よこみぞひろし

 国画会会員の洋画家横溝洋は、5月7日午前6時10分、食道ガンのため、東京都渋谷区の日赤医療センターで死去した。享年62。昭和3(1928)年4月25日、東京都大田区に生まれる。小学校高学年の頃から絵に興味を抱き、同26年、早稲田大学理工学部応用化学科を卒業して同年猪熊弦一郎に師事する。翌27年、第4回読売アンデパンダン展に対象を抽象的形体にデフォルメした「工場」を出品し、安部公房により新聞展評に取り上げられる。同31年第30回国画会展に「かつぐ」で初入選し、以後同展に出品を続け、同37年同会会友となる。同48年、インド、スリランカへ、翌年インド、ネパールへ、同51年トルコ、イラン、アフガニスタンへ赴き、帰国のたびに個展によってその成果を発表。同55年前後から中国、西域を中心に旅している。作品は早くから抽象的傾向が強く、晩年には「系」のシリーズを追求し、幾何学的形体と強烈、明快な色彩で宇宙の律を表現するような画面を示した。同61年、国画会会員に推挙された。絵画のほか著述もよくし、著書に『表現とは何か–系の世界1」(築地書館、昭和59年)、『私的空間池上村–系の世界2」(同、昭和61年)、『柿くへば 食から見た明治以降の文学–系の世界3』(同、昭和63年)などがある。

国画会展出品歴
第30回(昭和31年)「かつぐ」、31回「装置」、32回「穹」、33回「祭(女)」、34回(同35年)「開」、35回「律」、36回「晨」、37回「圏」「覇」、38回「汎」、39回(同40年)「渺」「湛」、40回「域」、41回「府」、42回「圏」、43回「圏」、44回(同45年)「典」、45回「念」、46回「覇」、47回「汎」、48回「殖」、49回(同50年)「系-’75」、51回「系-’77」、52回「系-’78」、53回「系-’79」、54回(同55年)「系-’80」、55回「系-’81」、56回「系-’82」、57回「系-’83」、58回「系-’84」、59回(同60年)「系-’85」、60回「系-’85」、61回「系-’87」、62回「系-’88」、63回(平成元年)「系-’89」

出 典:『日本美術年鑑』平成3年版(292頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月26日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「横溝洋」『日本美術年鑑』平成3年版(292頁)
例)「横溝洋 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10394.html(閲覧日 2024-04-18)

外部サイトを探す
to page top