吉村貞司

没年月日:1986/01/04
分野:, (評)

美術評論家で杉野女子大学教授の吉村貞司は、1月4日肺炎のため東京都新宿区の東京女子医大病院で死去した。享年77。本名弥吉三光。明治41(1908)年9月24日福岡県に生まれる。昭和6年早稲田大学独文科を卒業後、東京社、武侠社(のち婦人画報社)に入り『婦女界』などの編集長をつとめる側ら、詩作、評論活動を展開する。同10年文芸雑誌『翰林』同人となり、同誌上に小説や翻訳を発表する。また、日本伝統研究所をおこし、『伝統』を創刊した。同15年『近代文学と知性の歴史』を刊行。戦後は『新婦人』編集長となり歴史文学運動を展開する。同33年東京造形美術学校教授となり、のち杉野女子大学教授に転じ日本美術史を講じた。この間、美術評論、とりわけ現代日本画の評論を始め、日本画の改革をめざす主張に呼応した画家たちによる有明会、野火展、始原展などの結成に関与した。主著に『東山文化-動乱を生きる美意識』(昭和41年)、『日本美の特質』(同51年)などがあり、『吉村貞司著作集』(全8巻、同54~55年)が刊行された。

出 典:『日本美術年鑑』昭和62・63年版(314頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「吉村貞司」『日本美術年鑑』昭和62・63年版(314頁)
例)「吉村貞司 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10274.html(閲覧日 2024-03-29)

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