中島宏

没年月日:2018/03/07
分野:, (工)
読み:なかじまひろし

 青磁の美と技術を究めた「中島青磁」「中島ブルー」を確立し、青磁の重要無形文化財保持者であった中島宏は、3月7日肺炎のため死去した。享年76。
 1941(昭和16)年10月1日、佐賀県杵島郡西川登村大字小田志字弓野(現、武雄市西川登町弓野)生まれ。磁器の窯元に育ち、古窯跡の調査を通して青磁へ傾倒した。69年第16回日本伝統工芸展に初入選。70年、独立し、弓野古窯跡に半地下式穴窯を築窯。73年には第2回日本陶芸展に初入選。77年第24回日本伝統工芸展で「〓白磁壺」奨励賞受賞、文化庁買い上げとなる。81年、第1回西日本陶芸美術展で「粉青瓷線彫文壺」陶芸大賞(内閣総理大臣賞)受賞。83年日本陶磁協会賞を受賞。「中島青磁」と呼ばれる独創的な作品は高い評価を受け、1990(平成2)年佐賀県重要無形文化財認定。96年にはMOA岡田茂吉賞工芸部門大賞を受賞。2005年、第52回日本伝統工芸展に「青瓷線文平鉢」を出品、NHK会長賞を受賞。06年、第65回西日本文化賞受賞、日本陶磁協会創立60周年記念日本陶磁協会賞金賞受賞。07年、青磁で重要無形文化財保持者の認定を受ける。10年、日本工芸会常任理事参与、12年日本工芸会副理事長就任(―2016年)、旭日小綬章を受章するなど、陶芸界の第一線で活躍した。
 10代より、佐賀県、肥前地域の古窯跡を歩き物原(割れた焼き物の捨て場)で青磁の陶片に触れ青磁に魅了された。84年には、中国古陶磁研究者訪中団(日中文化交流協会主催)の一員として各地の古窯跡及び博物館を視察。青銅器の造形に感銘を受ける。翌年日本人として初めて、中国官窯の青磁がつくられた浙江省龍泉古窯跡を訪問し陶片調査を実施。自己の青磁創作への姿勢を強く意識し、唯一無二の「中島青磁」へと昇華。他に陶板作品も手がけ、92年NHK福岡放送センターロビーに青瓷釉彩磁器壁画「躍動する自然」、95年国際医療福祉大学(栃木県)に青磁「四季釉彩」磁器壁画を制作する。
 また、陶磁研究家であった小山冨士夫を師と仰ぎ、生涯陶磁器の研究と収集を行う。生誕の地である武雄市弓野地区をはじめ、武雄地域の陶器収集を熱心に行った。江戸時代の佐賀藩武雄領で焼かれた古陶磁を「古武雄」と名付けて再評価を行い、収集した作品約600点を佐賀県立九州陶磁文化館に寄贈した。
 80年西日本新聞社『中島宏作陶集』、97年日本経済新聞出版『中島宏作陶集―無窮なる青磁』を刊行。作品集のほか、95年には日本経済新聞社より随筆集『弓野[四季釉彩]陶芸家中島宏の世界』を刊行。

出 典:『日本美術年鑑』令和元年版(500頁)
登録日:2022年08月16日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「中島宏」『日本美術年鑑』令和元年版(500頁)
例)「中島宏 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/995646.html(閲覧日 2024-06-13)

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