那須良輔

没年月日:1989/02/22
分野:, (漫)

 痛烈な風刺のきいた政治漫画で近藤日出造、清水崑と並び称された日本漫画家協会会員、日本ペンクラブ会員の那須良輔は、2月22日午後1時、ぼうこうガンのため神奈川県の自宅で死去した。享年75。大正2(1913)年4月15日、熊本県球磨郡に生まれる。中学校在学中に洋画家を志し、上京して太平洋美術学校に学ぶ。同校卒業後、昭和9(1934)年講談社刊行の雑誌「日本少年」に「のんきな殿様」を発表して漫画家としてデビュー。新漫画派集団に所属し、昭和15年、近藤日出造の主宰する漫画誌「漫画」に執筆し始め、この頃から政治漫画に筆を染める。戦中は参謀本部の秘密機関の大田天橋の下で嘱託として外地向けの漫画謀略のビラを描くなどの仕事に従事し、同19年出征地より帰国。同25年より毎日新聞の嘱託となって政治漫画を担当。国会記者席からオペラグラスを使って議員、政治家の写生を行ない、洋画修学を基礎とした巧な似顔絵を用いて動感ある溌刺たる画風に鋭い批判、風刺をこめた。同33年にロンドンで開催された第1回国際政治漫画展に出品し、国際的にも認められる。主な政治漫画集の著作に『吉田から岸へ』(昭和34年、毎日新聞社)、『漫画家生活50年』(同61年、平凡社)などがある。また、水墨画、随筆もよくし、諷刺随筆『魚眼レンズ』(同42年、雪華社)、『かまくら素描』(同51年、かまくら春秋社)、『釣り春秋』(同53年、大陸書房)などを著した。

出 典:『日本美術年鑑』平成2年版(235頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
to page top