内田昭人

没年月日:2005/08/16
分野:, (学)

 東京文化財研究所修復技術部応用技術研究室長の内田昭人は8月16日午後11時6分、肺炎のため東京都西東京市の病院で死去した。享年55。1949(昭和24)年11月1日、埼玉県に生まれる。75年早稲田大学大学院理工学研究科(建設工学専攻)修士課程修了。81年東京大学大学院工学系研究科(建築学専攻)博士課程修了。工学博士、一級建築士。80年2月1日、奈良国立文化財研究所に採用。埋蔵文化センター研究指導部保存工学研究室研究官、平城京宮跡発掘調査部計測修景調査室研究官を歴任した後、埋蔵文化財センター研究指導部主任研究官に昇任、2000(平成12)年には保存工学研究室長に就任した。その間、史跡藤ノ木古墳の整備、史跡手宮洞窟や史跡フゴッペ洞窟の保存に従事するなど、構造力学の専門家として史跡の保存整備に貢献した。また、特別史跡平城宮跡朱雀門の復原など古代建物の復原にも力を注いだ。さらに、伝統的木造建築物の耐震性能に関する研究では、多くの五重塔にて常時微動測定を実施し、五重塔の構造と固有振動数の相関について解析を行った。特に五重塔の耐震性能では多くの研究成果を発表しており、99年にNHK教育テレビの「視点・論点」に出演、「五重塔の耐震性」について解説を行っている。02年4月、東京文化財研究所修復技術部応用技術研究室長に異動になった後は、五重塔の耐震性能に関する研究を継続するとともに、「文化財の防災計画に関する調査研究」の主担として文化財建造物の防災情報システムの構築などを行った。奈良国立文化財研究所および東京文化財研究所在任中は、精力的に論文執筆・講演等を行うとともに、古建築の鑑賞方法に関する随筆を執筆するなど、文化財の活用にも大きく貢献した。主な著書としては、「フレッシュを化学する」(「11建築物の保存」、大日本図書、1991年)、「発掘を科学する」(「建築や石室の健康診断」、岩波新書、1994年)、平尾良光・松本修自編「文化財を探る科学の眼-第六巻 古代住居・寺社・城郭を探る」(「五重塔の構造と揺れ」、国土社、1999年)、「奈良の寺-世界遺産を歩く」(岩波新書、2003年)などが挙げられる。

出 典:『日本美術年鑑』平成18年版(389-390頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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