久保田一竹

没年月日:2003/04/26
分野:, (工)

 染織家久保田一竹は4月26日午後4時50分、多臓器不全のため山梨県の病院で死去した。享年86。 1916(大正5)年10月7日東京の神田に生まれる。小学校の教師に絵の才能を見いだされ、1931(昭和6)年、親元を離れ友禅師小林清に入門した。34年には大橋月皎に人物画を学び、36年には北川春耕に山水と水墨画を学んだ。20歳のとき帝室博物館(現、東京国立博物館)で室町時代に栄え江戸時代に途絶えた幻の染色「辻が花」の小裂に出会い魅了される。太平洋戦争での徴兵、シベリア抑留により一時制作中断を余儀なくされたが、約20年をかけて61年、独自の染色法「一竹辻が花」を完成させた。83年パリ・チェルヌスキ美術館での「一竹辻が花展」を皮切りに海外でも活躍するようになり、88年にはバチカン宮殿にて上演された創作能「イエズスの洗礼」の衣装制作を手がけ、1990(平成2)年フランスよりフランス芸術文化勲章シェヴァリエ章を受章、96年にはワシントンDCスミソニアン国立自然史博物館にて個展を開いた。国内でも、93年に文化庁長官賞を受賞、94年に自作品を展示した久保田一竹美術館を開館し、久保田一竹作品集『一竹辻が花 光の響』(小学館刊)を出版した。95年からは創作能をも手がけるようになり、活動の場は多岐にわたった。化学染料を駆使した、他に類を見ない鮮やかで重厚な色合いで知られた。

出 典:『日本美術年鑑』平成16年版(298-299頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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