前田竹房斎

没年月日:2003/03/12
分野:, (工)

 人間国宝(重要無形文化財保持者)の前田竹房斎は、3月12日午前10時3分、急性心不全のため大阪府堺市内の病院で死去した。享年85。1917(大正6)年7月7日、堺市に生まれる。1935(昭和10)年高級花籃の名匠であった初代竹房斎に師事したが、修業中途に兵役に就き、復員して後にほぼ独学で竹工芸の研鑽に努めた。52年二代竹房斎襲名、翌年には皇太子殿下、56年天皇陛下・皇后陛下への献上品制作の栄誉を得た。47年大阪工芸展、53年関西美術展に初入選して以降に受賞を重ねた。また53年初入選を果たした日展では、68年まで立体造形的な制作で活躍した。59年第6回日本伝統工芸展に初出品、70年以降は毎回出品した。72年第1回伝統工芸木竹展奨励賞、第19回日本伝統工芸展で優秀賞を受賞し、86年第35回展では重要無形文化財保持者選賞を受賞した。同展で鑑査委員をたびたび務め、伝統工芸や大阪府工芸協会等で後進の指導にも熱心にあたった。1995(平成7)年重要無形文化財「竹工芸」保持者の認定を受けた。竹材の選択と素材の特性を高度にいかして現代生活に即した創作性の獲得に専念し、堅実で卓越した編組技法とその自由な表現に徹した。細い丸ひごを並列して透かしと内の重ね編みとを効果的に併用した繊細な制作や独創の重ね網代編みの花籃など、清新で力強い、高雅な格調を築き上げた。また花籃や盛器、茶箱等の煎茶道具にも自由で気品のある創作精神を示した。

出 典:『日本美術年鑑』平成16年版(297頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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