遠藤幸一

没年月日:2011/12/07
分野:, (学)

 美術史研究者で、高岡市美術館長であった遠藤幸一は12月7日肝不全のため、東京都内の病院で死去した。亨年61。
 1950(昭和25)年東京に生まれる。本名宮野幸一。69年3月、東京都立日比谷高等学校を卒業。74年3月、東京藝術大学美術学部芸術学科を卒業。77年3月、同大学大学院美術研究科修士課程(日本東洋美術史専攻)を修了。同年4月から9月まで同大学院研究生、翌10月から78年3月まで同大学非常勤講師を務める。78年4月から富山大学教育学部講師(美学・美術史担当)となる。82年12月、同大学同学部助教授となり、1995(平成7)年3月まで勤務。教育活動としては、他に金沢美術工芸大学、山野美容芸術短期大学、群馬県立女子大学、東京理科大学等で非常勤講師を務めた。93年6月から2002年3月まで、高岡市美術館収集美術品選考委員を務め、02年4月から同美術館長となり、長らく館長として勤務していたところ現職で急逝した。
 大学では教育にあたりながら、専門とする長谷川等伯研究では、生誕地である能登の地域と時代背景を検証考察するために、作品と文献資料を丹念に渉猟し、下記の諸論文等において春信時代の実像に迫り、斯界の研究の進展に寄与した。また、高岡市美術館の館長に就任してからは、美術館人として、近世から現代美術まで多岐にわたる企画展を担当しながら、同美術館「友の会」をはじめ、市民の視線にたちながら美術の普及事業に熱心にあたった。没後の平成24年2月5日に高岡市内で開かれた「遠藤幸一館長を偲ぶ会」には、個人の明るく温厚な人柄と美術館における幅広い活動を偲んで、300人をこえる参加者があった。
主要論文・評論等
「長谷川信春と能登(一) 信春の出自及び能登の政治的文化的宗教的状況」(『富山大学教育学部紀要A(文系)』28号、1980年3月)
「長谷川信春と能登(二)」(『富山大学教育学部紀要A(文系)』29号、1981年3月)
「長谷川信春と能登(三)」(『富山大学教育学部紀要A(文系)』30号、1982年3月)
「新出「信春」印・「法印日禛」銘高僧図について」(『富山大学教育学部紀要A(文系)』31号、1983年3月)
「長谷川信春筆大法寺仏画攷-日蓮宗十界曼荼羅の伝統と信春作品」(久保尋二編『芸術における伝統と変革』、多賀出版、1983年12月)
「第四章 戦国期の越中 第五節 戦国期の社会と文化」(分担執筆)(『富山県史 通史編Ⅱ 中世』、富山県、1984年)
「長谷川信春と能登(四)」(『富山大学教育学部紀要A(文系)』36号、1988年3月)
「第一章 御細工所の沿革」(分担執筆)(『加賀藩御細工所の研究』(一)、金沢美術工芸大学 美術工芸研究所、1989年)
「批評 洋画 四人から洋画の問題を考える」(『展』2号、能登印刷・出版部、1991年12月)
「展評 洋画 『完成度』の上に求めるもの」(『展』3号、能登印刷・出版部、1992年6月)
「展評 洋画 芸術家の才気とは」(『展』4号、能登印刷・出版部、1993年3月)
「第五章 御細工所と加賀の工芸 第二節「御用内留帳」に見る工芸職種 四 象眼細工、六 塗物細工、七 絵細工」(分担執筆)(『加賀藩御細工所の研究』(二)、金沢美術工芸大学 美術工芸研究所、1993年)
分野別専門委員(美術・工芸)(『富山大百科事典』上、下巻、北日本新聞社、1994年)
「結城正明の画業と大観」(『富山県水墨美術館開館記念特別展 横山大観展』図録、富山県水墨美術館、1999年4月)
「大角勲芸術の歩み」(『大角勲 天・地・生・命』展図録、高岡市美術館、2004年6月)
「沿革と十年の総括・展望」(『高岡市美術館年報 2004年』、高岡市美術館、2005年)
座談会「第三十七回日展-新たなる歩み」(『日展ニュース』119号、2005年12月)
「『若き日の長谷川等伯』展によせて」(『若き日の長谷川等伯』展記録集、2006年10月)
「富山県俊英作家にみる日本画の最前線」(『日本画の最前線―富山・俊英作家たちの軌跡』展図録、高岡市美術館、2007年2月)
シンポジウム「日本画の最前線―富山・俊英作家たちの軌跡-シンポジウム『日本画の可能性』」(『PATIO』25号、2007年5月)
「左右は展示のポイント」(『PATIO』26号、2008年3月)
「嶋田しづの作品とあゆみ」(『嶋田しづ 第15回井上靖文化賞受賞記念-画業60年の歩み』展図録、高岡市美術館、2008年6月)
編集委員『ふるさと美術館 愛蔵版』(北國新聞社、2009年8月)
「~鳳凰鳴き文化の華ひらく~『高岡の名宝展』によせて」(『高岡の名宝展~鳳凰鳴き文化の華ひらく~-前田家と瑞龍寺・勝興寺を中心に-』図録、高岡市美術館、2009年9月)
「池田太一さんの画業」(『池田太一展』図録、滑川市立博物館、2009年10月)
「(コラム)能登畠山家の文化と盛衰」(『別冊太陽 日本のこころ166 長谷川等伯 桃山画壇の変革者』、2010年2月)
「東山庵グループコレクションの精華」(『安土桃山・江戸の美~知られざる日本美術の名品~東山庵グループコレクション』展、高岡市美術館、2010年9月)
「日本美術のススメ 今月の逸品『桜下遊楽風俗図』」(『美術の窓』325号、2010年10月)

出 典:『日本美術年鑑』平成24年版(442-443頁)
登録日:2015年12月14日
更新日:2016年08月09日 (更新履歴)
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