中村茂夫

没年月日:1990/12/24
分野:, (学)

 文学博士、京都女子大学名誉教授・元大手前大学教授で、東洋の絵画思想史、東西美術史の比較研究の権威として知られる中村茂夫は、12月24日午前4時5分、大腸炎のため京都市上京区の堀川病院で死去。享年77。大正2(1913)年9月26日、三重県志摩郡に生まれる。大阪高等学校(文乙)をへて、昭和9年、京都大学文学部哲学科に入学、12年に卒業。同大学院をへて、昭和14年に奈良県師範学校、昭和16年に奈良県立高等学校の教諭を務める。昭和25年、京都女子大学の講師となり、以来、昭和54年に教授として定年退職するまで、同学で研究と教育に専心し、また教養部長・教務部長・文学部長・学園理事等の要職を務め、さらに昭和56年から63年まで大手前女子大学教授の職にあった。中村は、戦後はやくに今世紀の美術史研究の本流を形成したウィーン学派の様式史研究を紹介するとともに、その方法論を中国絵画研究へ適用しようと試みている。当時の中国絵画史は、西洋の古典美術・ルネサンス美術に比して、近代的方法による基準作品の同定など様式史研究の準備が十全といえる環境にはなかったが、中村は、画論や詩文をとおして中国絵画をうみだした芸術精神の内的な展開を解明し、実証的な様式史研究の理論的枠組みを用意した。

主要著書
『中国画論の展開』晋唐宋元編 中山文華堂(昭和40年)
『古典美術の様式構造』 岩崎美術社(昭和54年)
『沈周 人と芸術』 文華堂書店(昭和57年)
『石涛 人と芸術』 東京美術(昭和60年)
翻訳書
マックス・ドボルシャック著『精神史としての美術史』 全国書房(昭和21年)
同書(改訂版) 岩崎美術社(昭和41年)
マックス・ドボルシャック著『イタリアルネサンス美術史』 岩崎美術社(昭和41年)

出 典:『日本美術年鑑』平成3年版(329頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
to page top