辻光典

没年月日:1992/09/17
分野:, (工,漆)

 漆工芸家で日展参事の辻光典は、9月17日東京都新宿区の東京女子医大病院で死去した。享年76。大正4(1915)年11月11日旧満州(中国東北部)ハルピン市で生まれる。青山学院を経て、昭和14年東京美術学校工芸科漆工部を卒業。在学中の同13年、春台美術展に「文庫」で、光風会展に「花器」でそれぞれ初入選した。翌年、実在工芸展に出品、また工芸団体経緯工芸を組織し新工芸運動に入った。同15年、東京都工芸展に「蛾の踊り」で知事賞を受賞、同18年には光風会会員となる。戦後は、同23年工芸団体型々工芸を、同25年には洋和会を主宰し建築物と結びついた壁面装飾に漆工家としての新しい方向を求めようとした。また、日展では同27年に「太陽連作の一、風神雷神」で特選・朝倉賞を、同31年にも「太陽連作の五、エリオス」で特選を受けた。同33年、新日展評議員となり、同年から「雲連作」を発表する。同35年、日展工芸部門作家による団体円心を帖佐美行らと結成、翌年には円心を母体にした現代工芸美術家協会の結成に参加した。同36年、第4回新日展に「雲連作の四、蜃気楼」で文部大臣賞を受賞、同39年には前年の日展出品作「装飾画、雲連作の六、『クノサス』」で日本芸術院賞を受賞した。さらに、翌年からは「人間の連作」シリーズを手がけ、伝統的漆技法を自在に駆使しつつ独自の着想による象徴的な表現を深め、漆芸界に新しい方向を提示した。作品は他に、「人間の連作30、羽化する時」などがある。

出 典:『日本美術年鑑』平成5年版(323頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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