1896(明治29) 年5月3日


 五月三日 日
 昼前から杉田一郎の弟新八氏が来て居て一緒ニめしを食ひ一時半頃迄話して行た 二時過ニ久米の処ニ行て見たら今日一時ニ葬式が出たと云あと 直ニ菊地の処ニ行て見たら奴ハ葬式ニ行たとの事 其処で其儘式場の一本松町の寺ニかけ付けた 焼香が済で皆が帰る処だつた 通知ニもれて失礼したと云事丈を云て連中と一緒ニ為り山本の処ニ行た 此処ニ集まつた者共ハ合田 菊地 吉岡 佐野 小代 田中 夕方から皆で出掛け聖坂上の焼酎屋と云どぶろく屋ニ這入つて飲だり食たり 其処で払が六十三銭 八十銭丈置いて大威張 それから三田の通ニ出て牛屋ニ入りめしを食た 山本の話が面白く二時間計も大笑した 雨ニぬれて十時半頃内へ帰