本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年5月13日

 五月十三日 水 曇天 十一時頃ニ衆議院ニ行き十二時ニ倶楽部 大久保利武ハ一寸来て帰り樺山愛と一緒ニめし食て居た処ニ松方正作さんがひよつとやつて来た いつか京都で別れた以来今日が始めてだ 食後松方氏と洋行したいなど云話をして居た処ニ大久保利和氏が見へた 一時頃から大学のルボンの処ニ行た それから岡倉氏を谷中ニ訪ひ五時頃ニ為つて帰る時池の端で松岡 浅井 松井 大熊 渡邊鍬 本多錦氏等がお揃でお通の処ニ出つこあした しばらく一緒に歩いてそれから皆々別れて内へ帰る 夜お栄さんがやつて来て十時過迄母上などと一緒ニ為つて雑談を云つた 中村が新茶を送つて呉れた礼ニ今日葉巻のたばこを一箱送つた

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