本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年5月8日

 五月八日 金 これから衆議へ出懸やうと云処ニ林政文が来たので一寸話をした 大西庄のカラリヤンの中でかいた営城湾の雪の景色の画など紀念としてやつた 衆議院の方でハ今日から絵の具を使ひ始めた 久米の処ニ一寸寄りそれから昼めしを精養軒で食た トロンコアと今度来たと云仏国公使館の訳官等が居た 食後即ち二時頃ニ又久米の処ニ行て美術学校の為ニ注文する絵具などの一ツ書をこしらへて手紙を出す計ニした 六時半過迄居て帰る 安藤から手紙が来て居たから其返事を書いたりした 九時頃ニ菊地がやつて来て十一時迄話して行た 今日ハ天気ハよかつたが少し寒かつた

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