本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年5月11日

 五月十一日 月 十一時から十二時迄衆議院で仕事した 帰り途ニ合田 菊地をたづねた 二人とも留守 又頭本の処ニ寄つて仏語学の事でトロンコアの返事を知らした 午後あんまり風が強くほこりが立つので内へ引込で居て内の椅子の間の模様がへの図などかいて大工に渡すなどで日を暮した Mes parents ont commencé le mouvement aujourd’hui. Je rencontre la mollesse chez ma soeur contre l’habitude, c’est bien malheureux.  夕方に巴里から持て帰つた古い Carnet à dessin を見てフオンテヌブローでレール一家と知合ニ為つた時代からトレポール ブランケンベルグ時代又ヴオージユの旅 九十一 二年の暮村及ブレハ島などを思ひ出して居た処ニ溝口兼斎氏が来た 晩めしを一緒ニ食た 九時過ニ母上がお帰りなされた 京都の安藤と中村から手紙が来たから其返事をかく 一時頃ニねる

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